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コラム Nikkan Olympic Column
現地レポート 五輪の光と影 五輪コラム 現地レポート 五輪の光と影

 社会部事件担当の石井康夫記者が英国社会の深層に迫る。五輪会場の内外に目を向け、現地住民の反応から、ホスト国の社会問題を多角的に取り上げる。

ロンドンの夜も本番 売春宿最高の稼ぎ時

ロンドンの眠らない町SOHO
ロンドンの眠らない町SOHO

 五輪開幕と同時に、ロンドンの「夜」も本番を迎えている。パブやクラブ、カジノなどが立ち並び、ロンドン一の繁華街として知られるSOHO地区。その裏通りに半分だけ開いた怪しげなドアが、ぽつりぽつりと数軒あった。これが「モデルクラブ」なる売春宿らしい。世界各国から観光客が集まる五輪は、彼女たちにとっては最高の稼ぎ時。紳士の国、ロンドンの風俗事情をのぞいてみた。

 ロンドンきっての繁華街「SOHO」は深夜になってもにぎやかだ。日本でいうなら歌舞伎町か。特に開会式が行われた27日と翌日28日は週末にもあたり、午前2時を過ぎても飲み歩く客でごった返した。ロンドンのバスは普段から24時間運行。その上、五輪期間中は毎日、地下鉄のほとんどの路線で終電が午前2時台まで延長されるため、観光客は思う存分ハメを外せる。

 にぎやかな表通りから脇道へ1歩入ると、アダルトグッズなどを売る店が固まる怪しげな一角がある。「モデルクラブ」はその周辺に数軒、集中していた。周りを観察すると、客とみられる男たちが手持ちぶさたに順番待ちをしている様子。繁盛しているようだ。

 英国では体で稼ぐことも女性の権利とし、売春行為は合法とされる。ただ人身売買につながる可能性のある宿の経営やあっせんは違法だ。かつて売春宿は五輪スタジアムのある東ロンドンにも多かったが、五輪開催に向けロンドン警視庁がスタジアム周辺の宿を一斉摘発。関係者によると「モデルクラブ」の場合は女性個人が住んでいる部屋で、客はただの訪問者という建前のため、摘発を免れているという。

 日本の記者と名乗った上で、20代の金髪女性に話を聞いた。この女性によると料金は1回20ポンド(約2500円)プラス、時間によって50ポンド程度の別料金が加算される仕組み。売り上げの増減についてはノーコメントだったが、五輪開幕直前から「急に外国人の客が増えた」と話した。

 現地事情通によると、最近はネットを介して女性をホテルや自宅に派遣する手法も人気だという。やはりSOHOなどの中心部に多く、中には五輪に便乗した「金メダルコース」なるスペシャルメニューを用意している店もあるという。英メディアによると、美人が多いとされるルーマニアの売春婦たちが、五輪客を目指して大量にロンドン入りしたとの情報もある。

 ある客引き男性は普段の倍以上の客が来店しているとし「うちはイタリア、スペイン、ルーマニアの娘だけをそろえてるから忙しいんだよ」と話した。数十万人単位の人が押し寄せる世界的大会にセックス産業はつきもの。紳士の国の五輪でもそれは変わらないようだ。

 ◆ソーホー(SOHO)地区 ロンドンの繁華街の中心地、ピカデリーサーカス広場の北側で、リージェント通りの東側のエリアを指す。16世紀ごろに王立公園として整備される。地名は17世紀ごろ、狩りの際の掛け声が由来になったとの説が有力。19世紀ごろまでに、上流階級の家庭は転出。20世紀には性風俗店や映画館などが並ぶ歓楽街として栄えた。1980年代以降は性風俗店が減ったが、現在も点在する。カーナビー通りには150店以上のファッション店が並び、ロンドンの流行が分かる。約100店規模の中華街がある。

 [2012年7月30日9時10分 紙面から]



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