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 社会部事件担当の石井康夫記者が英国社会の深層に迫る。五輪会場の内外に目を向け、現地住民の反応から、ホスト国の社会問題を多角的に取り上げる。

本日特別紙面建て!日本応援「バイブル」

「週刊ジャーニー」について語る手島功編集長
「週刊ジャーニー」について語る手島功編集長

 ロンドンで長年、在留日本人に親しまれている日本語フリーペーパーがある。ジャパンジャーナルズ社が発刊する週刊紙「ジャーニー」だ。日本のニュースはもちろん、英国に関する独自の特集記事、日本語訳したテレビ欄もある。今回の地元五輪を迎えるにあたり、大会前から特別紙面建てで6~7ページの特集も組んだ。市内中心部の日本食店をほぼ網羅したレストランガイドなど、五輪応援で訪英した観光客の「バイブル」としても人気を呼んでいる。

 ロンドンで日本の料理店や食材店に入ると、ほとんどの店で「ジャーニー」の文字を目にする。フルカラー40ページに、現地情報を詰め込んだフリーペーパー。繁華街にある日本料理店の男性店員は「五輪が始まって日本のお客さんが増えましたが、観光の参考に、と持って行く方は多い。これを見て店に来てくれる人もいる」と話した。

 創刊は88年。元旅行会社の現地駐在員だった手島功編集長(51)が「英国では日本人向けの情報が少なすぎる。もっと在留邦人や旅行者に情報を」と立ち上げた。紙面構成は日本のニュースから、現地生活情報、読者投稿によるおいしいお店の紹介。特に創刊当初からの目玉、日本語訳した週間テレビ番組表が旅行者に好評だという。

 編集担当スタッフは編集長を含め4人だけ。もちろん全員日本人だ。手島編集長は「できるだけ新しい情報を入れるため、1面は毎週水曜日の校了直前まで待ちます。そしてすぐに取材に出る。金曜日には紙面構成を考え始めますから、まあ忙しいですね」。特に今回の地元五輪では創刊以来初めて、3号連続の特別紙面建て。グッズ紹介や、過去2回のロンドン大会プレーバックなどの長文記事も掲載した。

 在英日本大使館によると、在留邦人は現在約6万3000人。ジャーニーの回し読みを含めた推定読者は1万5000人で、英国で暮らす日本人の約4人に1人が読んでいる計算だ。ロンドン在住20年の日本人女性は「私たちは常に日本の情報に飢えていますから、ありがたい」。五輪観戦のため訪英している東京都の鈴木誠一さん(30)も「こっちで日本語の新聞が手に入るとは思わなかったからびっくり」と話した。

 手島編集長によると、ジャーニーとは逆に、英国の人々に日本の文化を伝える英字媒体を発行する構想もあるという。「日本の伝統、文化のすばらしさをもっと伝えたい。例えばフランスで人気の岩手県の南部鉄瓶。紅茶の国、イギリスの人々は絶対に興味を持つはず」。ロンドンの人気フリーペーパーは、今後も日本と英国の橋渡し役として活躍していきそうだ。

 ◆週刊ジャーニー 88年、英ロンドンで月刊紙として創刊。98年に週刊化。通常のニュース、求人情報などのほか、英国の現在のさまざまな事象を取り上げる「サバイバー」、英国観光スポットを紹介する「ホリデー」など特集記事多数。今月中旬には香川真司のマンチェスターU移籍を記念したイングランドサッカー特集を予定。

 [2012年8月6日8時27分 紙面から]



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