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金メダリストに「キン」メダイ贈呈

 静岡県下田市は13日までに直径48センチ、高さ13センチの木製の樽(たる)に、特産品のキンメダイなどを詰め込んだ「きんめだる」を金メダルを獲得した日本選手7人に贈呈することを決めた。市はキンメダイの水揚げ高日本一をうたっており、市のPRを込めて今年7月に就任したばかりの楠山俊介市長(58)が発案した。1個5万円前後とのことで、市では商品化も検討しているらしいが、五輪便乗商品として果たして人気グッズになるか。

 こぼれそうな大きな目玉の奥を見るとゴールドに輝いている。深海の高級魚キンメダイだ。下田市の楠山市長が「めでたいという意味も含め、金メダルを獲得した日本代表選手にお贈りしたい」と「きんめだる」企画を提案した。

 楠山市長は今年6月17日に無投票で初当選し、7月5日に就任したばかりの新任だ。このプランは「6年前のトリノ五輪で荒川静香さんのイナバウワーに感動して、下田市のキンメダイを贈呈できないか、と考え始めた」と6年温めた構想であることを市広報担当者を通して明らかにした。

 市内の水産加工「ほうえい」の土屋信由社長(63)が、水産加工商品を入れる木製の船やたるを自分でつくることが市内では知られており、楠山市長が「きんめだる」企画を持ち掛けた。快諾した土屋社長が高級のサワラ材で直径48センチ、高さ13センチの大きな丸い箱を作った。土屋社長は「2キロ級の大きな鮮魚、ミソ漬け、干物、くん製などキンメダイづくしにして、さらに海産品を入れ計10種ぐらいの『下田スペシャル』にする」と話す。およそ5万円相当の「きんめだる」になるという。

 市総務課によると「日本各地の水揚げを調べたわけではないが、昨年度の水揚げ量は2021トンで間違いなく国内では下田市が日本一でしょう。下田ブランドを意識していただいているのか、遠くは九州からキンメ船も入港する」と話す。

 ふたに首掛けのヒモがついていて、巨大な金メダルになっている。22日にはレスリング女子48キロ級を制した小原日登美(31)の祝賀会に持ち込み、プレゼントするという。市担当者は「お祝いの定番としてアピールしたい。商品化も考えています」と特産品を使った五輪便乗を念頭に置いている。

 ◆下田市のキンメダイ水揚げ量 市総務課によると1982年度は約7000トン。以後、毎年減り続け、90年度は4777トン、00年度は3753トン、昨年度は2021トンにまで落ち込んだ。1キロ当たりの市場価格は90年度が768円、00年度は699円、昨年度は1101円だった。ただし、市内の漁協関係者によると、現在の浜値は1キロ約3000円で、高級魚であることは間違いない。

 ◆キンメダイ 1830年代にモロッコ・カサブランカ沖で、初めて生息が確認された。日本では明治期に相模湾で初めて漁獲され広まった。瞳の奥が金色に光るのは、深海で少ない光を察知するための反射板の役割をしているため。

 [2012年8月14日8時31分 紙面から]



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