驚異の記録後半100m9秒2/マイケル・ジョンソン
96年、アトランタ五輪の男子200メートルで世界新記録で優勝するマイケル・ジョンソン
<マイケル・ジョンソン(米国=陸上男子)>
背筋を反らせ、上半身よりも足が先に進んでいくように見えるぐらいの独特のピッチ走法は、目に焼き付いている。96年アトランタ大会でもっとも輝いた男。史上初の400メートルと200メートルの2冠を、劇的にやり遂げた。
400メートルを43秒49の五輪新で勝った時は、表彰台で泣いた。前回92年バルセロナ大会では食中毒を起こして準決勝敗退。1600メートルリレーしか勝てず、個人初の金メダルだった。
世界を驚かせた200メートル決勝。スタート直後、5歩目でバランスを崩した。前半100メートルは10秒12と遅かったが、ここからすごかった。金色のスパイクが高速回転し、まさに飛ぶようにフレデリクス(ナミビア)らを引き離す。19秒32。後半100メートルは9秒20で、自身が大会2カ月前に出した19秒66の世界記録を0秒34も縮める、短距離の常識では考えられない驚異的な世界新。「人生でこんなに速く走ったことはないと感じた」と振り返った。
肉体の限界を超えた代償で右太ももを痛め、1600メートルリレーは出場できなかった。00年シドニー大会では400メートルで2連覇。1600メートルリレーはメンバーのペティグルのドーピング失格で金メダルをはく奪される不運もあり、金メダルは計4個だった。