12年間無敗、霊長類最強/カレリン
<アレクサンドル・カレリン(ロシア=レスリング男子)>
敬意を持って「霊長類最強」と呼ばれた。グレコローマン130キロ級で88年ソウル大会から3大会連続金メダルを獲得した。
五輪3連覇がかかった96年アトランタ大会。決勝でガファリ(米国)と対戦。1分半すぎにバックに回って、1ポイントを先取した後は相手に体を預けたままだった。グラリともさせられなかったガファリは「最も強い霊長類のゴリラにレスリングを教える以外に、彼を倒す方法はない」とお手上げだった。
得意技はパーテルポジション(相手がマットにうつぶせに寝た状態)の相手の胴体を両腕で持ち上げて後方に反り投げる「俵返し」。軽中量級では普通の技だが、130キロ級では大技で「カレリンズ・リフト」と呼ばれた。300キロまで測れる背筋力測定器を軽く引っ張るだけで針が振り切れ、大型冷蔵庫をマンション8階まで片手で担いで上ったという「怪力」がなせる技だった。
00年シドニー大会。4連覇をかけた決勝で、ガードナー(米国)についに敗れた。88年以降、世界大会(五輪、世界選手権)で12年間無敗、大会76連勝を記録し、公式戦連勝記録は300ともいわれる。