背面跳び革命/フォスベリー
<ディック・フォスベリー(米国=陸上男子)>
走り高跳びに革命をもたらしたといわれる「背面跳び」を、五輪で初めて披露した。
68年メキシコシティー大会、1人の選手があおむけに空中に飛び出し、背中を地面に向けてバーを越える「背面跳び」を始めた。それまでは顔、上半身が地面を向いて跳び越す「ベリーロール」が普通。観客も最初は面白がって見ていたが、金メダルの記録となった2メートル24をクリアするころには、1回ごとに大歓声だった。
背面跳びになったのは偶然からだという。高校時代、ベリーロールを習得できず、足を振り上げてまたぐように跳ぶ「はさみ跳び」を練習しているときに、体をあおむけに倒す跳び方を思いついた。背面跳びの練習を始めた当時は笑いものになっていたそうだが、大学で磨きをかけ、五輪前には「フォズの魔法使い」といわれるほど、記録も伸び認知されつつあった。
この「発明」は五輪後、あっという間に世界に広がり、今ではこれが「普通」の跳び方になり、記録もどんどん伸びるようになった。