なでしこ全員宮間になる!
試合形式練習でスタメンから外れたMF宮間
全員が宮間になれ! なでしこジャパンは10日、キリンチャレンジカップに向けた前日練習を千葉県内で行った。男子大学生相手の試合形式練習では、先月18日に惨敗した米国戦(1-4)の反省をもとに、前線からの守備に重点を置いた。佐々木則夫監督(54)は最も理解度の高いMF宮間あや(27=岡山湯郷)を、あえて先発組から外し“宮間抜きシステム”で調整。先発組には宮間の声や体での統率なしでも実行すること。控え組は宮間とプレーすることで全体の共通意識を高めた。「仮想カナダ」として臨む今日11日のオーストラリア戦で進化が問われる。
佐々木監督の懸念材料は、なでしこの生命線でもある「前線からの連動した守備」だった。大学生相手の試合形式練習では、相手守備ラインからボールをスタートさせた。大儀見、安藤がDF陣にチェックに行く。パスコースを限定させる。2列目の大野、川澄、ボランチの沢、阪口が相手に寄る。ボールを奪う。そこから攻撃に転じる。指揮官が「攻守にアクションするサッカー」と唱えてきた強みを、再確認する必要があった。
その司令塔となっている宮間をあえて外して実践した。「プレスをかけた時の連動はチームのベース。宮間が一番できているので控え組に入れた。先発組は指示もできる宮間がいなくても機能しなくてはダメだし、できていない組は宮間を感じながら学んで欲しかった」と、狙いは明確だった。
先月のスウェーデン遠征では米国に1-4と完敗。指揮官は連動した守備ができなかったことが、最大の要因と分析した。この日はスタンドから「相手に寄せたときに、つぶしに行かないと!」。時折厳しい言葉をかけながら徹底。大学生にもパスを回すだけでなく、DFラインの裏へ放り込むパスを増やすことなど細かく要求。“仮想カナダ、米国”を意識して取り組んだ。
川澄は「自分たちが意識しなくてはいけないことが、あらためて認識できた」。佐々木監督も「意識しながら流れはつくれた。暑かったけど悪くなかった」と手応えは得た様子。当の宮間は「確認だけでなく、さらに質の高いものができないと」と、15日後に迫った本番に向け気を引き締めた。宮間に並ぶ理解度が全員に波及したときこそ、金メダルがまた1歩近づく。【鎌田直秀】