麻也スペイン戦間に合う 急ピッチ調整
ロングキックを蹴るDF吉田
右膝内側側副靱帯(じんたい)損傷から完全復活を目指す五輪日本代表オーバーエージ(OA)のDF吉田麻也(23=VVV)が13日、千葉県内で練習を行った。フィジカル中心のメニューの中で、ロングキックやスライディングも行い、ロンドン五輪本大会1次リーグ初戦スペイン戦(26日)への見通しがたった。今日14日の海外組練習に合流する予定で、五輪で世界へアピールするため、ここから急ピッチでコンディションを上げていく。
思わず飛び出た言葉に五輪への強い思いがにじみ出た。ロングボールを蹴ったDF吉田が、キックミスをすると「Shit!」。海外組らしく英語で「クソッ」と叫んだのも、スタートを出遅れた焦りがあったから。
この日は約1時間、フィジカル中心のメニューで追い込み、右膝の回復具合も確認。吉田は「今日何かあれば分からなかったけど、明日からやれる」と、海外組練習への合流を明言した。
右膝の痛みは完全に癒えぬまま、ピッチに立つ覚悟だ。OAの選手として、1度もチームに入って試合をしたことがない。そのことを考えれば、五輪初戦スペイン戦(26日)から逆算し、18日ベラルーシ戦と21日メキシコ戦の親善試合出場は不可欠。「できるんだけど痛みが続くのがこのけがの特徴。やりながら治していくしかない」。まだ蹴り方によっては痛みをともなうものの、全面復帰へ自分として踏ん切りをつけた。
世界へアピールするチャンスが目の前に広がっている。黙っているわけにはいかない。「僕に限らずアピールに絶好の場。特にスペイン戦はビッグチャンス」。五輪では、世界の強豪クラブのスカウトたちが熱視線を送る。オランダのVVVから、ステップアップするためにも「チャンスを勝ち取れるようにしたい」と、成り上がるつもりだ。
ピッチ内外で、何より強い責任感にかられている。「守備の不安定さがあったがためのOA。刺激を与えて引き締めていきたい」。ニュージーランド戦終了間際に、痛恨のミスを犯したMF村松に「次に生かせればいい」と声をかけ、フォローを忘れなかった。五輪では、主将が有力視されているが「主将であってもなくても、役割は変わらない。センターバックというのはそういうポジション」。けががあってもなくても、吉田に代わる選手はいない。【栗田成芳】