沢「決勝まで私のシナリオ通り」
笑顔を見せながら股関節のストレッチをする沢(撮影・松本俊)
【カーディフ(英国)1日=鎌田直秀】なでしこジャパンの準々決勝の相手がFIFA(国際サッカー連盟)ランク5位ブラジルに決まった。日本は7月31日の1次リーグ第3戦南アフリカ戦で引き分け、2位通過。カーディフ滞在で移動の負担も軽減された。5年連続で世界最優秀選手となったFWマルタ(26)率いる2大会連続銀メダルのブラジルは難敵だが、選手らは対戦を歓迎した。金メダル獲得へ向け、佐々木則夫監督(54)が最も重要視してきた準々決勝は、明日3日(日本時間4日午前1時)に行われる。
1次リーグ第3戦の南アフリカ戦で、試合途中から引き分けを狙っての2位通過。準々決勝の対戦相手は五輪で2大会連続銀メダルのブラジルに決まった。
一夜明けて、南アフリカ戦先発メンバー以外のMF沢穂希(33=INAC神戸)、FW大儀見優季(25=ポツダム)ら主力組はブラジル戦に向けて約1時間半の練習を行った。選手、スタッフらは前日の南アフリカ戦後、宿舎での夕食後に英国-ブラジル戦をテレビ観戦。それぞれが攻略のイメージを膨らませた。
選手らはW杯ドイツ大会1次リーグで敗れた英国(当時はイングランド)との対戦よりもブラジルとの対戦に勝機を見いだし、歓迎した。MF沢は「個の強い選手は多いけど、組織的に戦える意味ではうちらの方が上。ボランチとDFラインの間、バイタルエリアが空くのでそこを使えると思う」と分析。もちろんブラジルの怖さも熟知しているが「米国との決勝まで私のシナリオ通りになってきたかも」と表情が緩んだ。
攻撃面ではFW大儀見が「ブラジルのDF陣は欧州CLで対戦した選手もいる。組織的ではないし崩せる。2トップを消しちゃえば、なんてことないチーム」と断言。FW大野も「黄色いユニホームを見たら燃えるかも。サッカー王国って感じ」と気合を入れた。
ただ、ブラジル代表の五輪にかける思いも強い。04年アテネ、08年北京と2大会連続で米国に決勝で敗れた悔しさがある。佐々木監督は、4月5日のキリンチャレンジ杯で4-1と大勝したことも「マルタ抜きで、当時は4バックを試していて、バランスが悪かった。参考にはならない」と気を引き締めた。MF阪口もマルタについて「ボールを持って、あんなに早くドリブルできる人は他にいないでしょ」と警戒する。
W杯までは米国、ドイツ、ブラジルが女子の3強といわれる時代が続いてきた。そこに技術と気持ちの強さで肩を並べたなでしこジャパン。体調を整え、今度こそ五輪で結果を出す。