＜ロンドン五輪：レスリング＞◇９日（日本時間１０日）◇女子５５キロ級決勝

　吉田沙保里（２９＝ＡＬＳＯＫ）が、苦しみながら五輪３連覇を達成した。準決勝で今年５月のＷ杯で敗れたワレリア・ジョロボワ（ロシア）に雪辱した吉田は、決勝で昨年世界選手権決勝でも当たったトーニャ・バービック（カナダ）と対戦。第１ピリオドを奪うと、第２ピリオドも残り３０秒から得意のタックルを決めて２－０で快勝した。

　日本女子選手の五輪３大会連続優勝は、前日達成した６３キロ級の伊調馨に続いて２人目。世界選手権を含む世界大会での連覇を１２と伸ばし、この日スタンド観戦した「霊長類最強の男」アレクサンドル・カレリン氏（ロシア）が持つ記録に並んだ。

　セコンドの父栄勝コーチを肩車した吉田は「最高の舞台で、最高の形で終わることができた」と笑顔で話した。勝ち続けることで世界から研究され、タックルに自信を失ったこともあった。それでも、以前の自分を取り戻すことで自信を回復。「北京からの４年間にいろんなことがあったが、さらに強くなれたかな」と話した。

　涙の栄監督の横で笑顔の女王・吉田。「会場に来られなかった国民の皆さんの応援も心に響いた」と、言ってのけた。

　◆吉田沙保里（よしだ・さおり＝女子５５キロ級）０４年アテネ、０８年北京両五輪で金メダル。世界選手権で９連覇。アジア大会で３連覇。中京女大（現至学館大）出、ＡＬＳＯＫ。１５７センチ。２９歳。三重県出身。