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母嬉し泣き「愛も年取りましたね」/卓球

<ロンドン五輪:卓球>◇5日(日本時間6日)◇女子団体準決勝

 卓球女子の団体準決勝が行われ、世界2位の日本が同3位のシンガポールに3-0で快勝。決勝進出で銀メダル以上を確定した。

 母と娘、積み重ねてきた20年分の思いが結実した。スタンドで観戦した、福原愛(23=ANA)の母千代さん(61)はうれし涙を流した。92年8月13日に始まった親子の卓球が、悲願のメダルに届いた。

 「卓球を教えて良かったと思える試合をしたい」。母の話になると、福原は決まって涙を流した。海外で過ごすことが多く、日本でも合宿所生活で家に戻らない。久しぶりに会うと「年を取ったなぁ」と感じる。その母が北京五輪後、病気を患ったこともあった。「卓球をやってきてあまり後悔したことはないけど、家族のそばにいられないことが…」。

 千代さんは昨年4月から調理師の専門学校に通い始めた。「六十の手習い」と笑うが、大会や帰国時、娘に差し入れる弁当の栄養知識を増やすためだった。小学6年の全日本を最後に指導を離れても、娘への愛情は変わらない。涙もろくなった娘に「愛も年を取りましたね」と言い返した。

 千代さんは福原に算数を教えるとき「答え」を明かした。解かせたのは、その過程。どう導くかを大切にしてきた。今、福原に課せられていた問いの答えは「五輪のメダル」。その道のりを考えながら歩んできた20年。母娘はようやく、たどり着いた。【今村健人】

 [2012年8月7日8時57分 紙面から]