フジカキ、さあ金メダルだ/バドミントン

ポイントを奪いタッチを交わす藤井(左)、垣岩ペア(撮影・PNP)
<ロンドン五輪:バドミントン>◇2日(日本時間3日)◇女子ダブルス準決勝
さあ、金メダルだ! 世界ランク5位で第4シードの藤井瑞希、垣岩令佳組(ともに23=ルネサス)が2-1で同27位のブルース、リ組(カナダ)を下した。決勝進出を決め、日本史上初のメダルが確定。今日4日の午後3時45分(日本時間午後11時45分)から、同2位の第2シード田卿、趙■蕾組(中国)と金を懸けて戦う。男子シングルスの佐々木翔(30=トナミ運輸)は、準々決勝で北京五輪金の林丹(中国)に1-2で競り負けた。
「フジカキ」が新たな歴史をつくった。悲願が達成された瞬間、藤井と垣岩は同時に両手を上げてから抱き合った。メダルを懸けた大一番で戦っていたのは、コートの向かい側ではなく自分たちの心だった。
藤井 うれしいより、ホッとしたという感じで。コートに入ると自分たちのプレーができなくて。どうしようって。
垣岩 ちょっと硬くなって、いつもより楽しめなかったです。
相手は本来、ここにいなかったはずの「ブルース・リ」ペア。1度は1次リーグ3戦全敗で敗退したが、無気力試合による強豪4組の失格で生き返った。勝って当然とみられた試合は、第1ゲームこそ先取したものの、第2ゲームは中盤以降に相手を勢いづかせて失った。守りに入っていた。
ここで垣岩が1年先輩の藤井をほぐした。「もう少し笑って」。藤井から笑顔が消えていた。サッカー日本代表の沢穂希似で、映画「千と千尋の神隠し」に出てくる「カエルの番頭」の物まねが得意な垣岩が、笑って和らげた。「勝つも負けるもあと1ゲーム、思い切り、と顔を見合わせたら笑えた」と藤井。絶妙なコンビプレーを取り戻し、1時間3分の熱戦を制した。
2人が青森山田高に在籍していた06年、小椋と潮田の「オグシオ」がきっかけでダブルスを組み始めた。08年北京五輪は同じ所属先の末綱、前田組の4位を現地で応援。垣岩は「北京で先輩を見ていなかったら今、ここにいない」と言う。
先輩が届かなかった決勝の舞台に立つ。相手は格上の中国ペアだが、昨年12月には2-1で勝っている。決着のつく日本時間5日が誕生日の藤井は「(表彰台の)一番高いところを」と力を込めた。「聖地」ウェンブリーで、もう1つの歴史をつくる。【近間康隆】
◆藤井瑞希(ふじい・みずき)1988年(昭63)8月5日、熊本・芦北町生まれ。5歳からバドミントンを始め、湯浦中では全中シングルス優勝1度、準優勝2度。青森山田高1年だった04年に全日本ジュニア2位。05年選抜と総体シングルス優勝。06年総体では垣岩と組んだダブルスとシングルス、団体の3冠を達成した。右利き。高校では卓球のロンドン五輪代表・福原愛と同級生。趣味はネイルアート。好きな言葉は「笑顔」。160センチ、60キロ。
◆垣岩令佳(かきいわ・れいか)1989年(平元)7月19日、滋賀・大津市生まれ。日吉中で04年全中シングルス制覇。青森山田高2年の06年は選抜と総体のダブルスで優勝した。ダブルスで10年全日本選手権準優勝、昨年はドイツオープンで優勝、世界選手権はベスト8。右利き。趣味は韓国ドラマを見ること。好きな言葉は「継続は力なり」。166センチ、64キロ。
※■は草カンムリに雲