沢フレンズで呼ぶ TOKYO五輪
ロンドン五輪メダリストの銀座パレードで手を振るなでしこジャパン(撮影・柴田隆二)
なでしこジャパンのMF沢穂希(33=INAC神戸)が20日、アスリートの力を結集しての2020年東京五輪開催招致に意欲を見せた。女子レスリング55キロ級3連覇の偉業を達成した吉田沙保里(29)ら、幅広い交友関係を生かして“アスリート会”も結成。来年9月の開催地決定まで、世界へのアピールを行っていく予定だ。この日、東京・銀座で史上初めて行われたメダリストパレードには、沢ら71人が参加。約50万人ものファンが詰め掛けた。
50万人パレードが、沢の気持ちを、さらに高揚させた。ロンドン五輪では念願の銀メダル獲得。沿道からの大歓声と、無数の日の丸。「初めての経験でしたし声援もすごかった。めちゃくちゃ感動しましたし、涙が出てきました」。なでしこジャパンのメンバー、体操・内村らと同じバスから笑顔で手を振りながら、ますます膨らむメダリストとしての自覚。2020年の東京五輪開催招致に向けての活動も、代表生活約20年を支えてくれた人への恩返しだと実感した。
女子サッカーの発展、普及だけでなく、五輪を通じて、スポーツの裾野を広げる希望を抱き続けてきたのが沢だ。東京・府中市出身でもある。「(パレードも)たくさんの方にアピールできる場だったと思う。自国のしかも東京でのオリンピックはなかなかない機会」。先頭に立つ構えは現役生活への糧ともなる。
なでしこジャパンの選手はもちろん、メダリストにも交友関係は広い。「(吉田)沙保里ちゃんは五輪を3連覇した金メダリストですし、私より影響力もあると思う。他にもたくさん仲の良いアスリートもいます。選手としても盛り上げていこうと話はしていますし、これからもできる限り協力したい」と結束力で勝ち取る。
吉田も「沢さんとは、8月中にも食事会の予定です。(バドミントン)潮田さんとかも誘われているんです」と“アスリート会”がロンドン五輪後最初の決起集会ともなる。沢はバレーボールの竹下佳江や、競泳・北島康介らともプライベートな付き合いがあり、力の結集は大きな援軍となることは間違いない。19歳の卓球・石川佳純も「私も協力したい。東京にぜひ来てもらって金メダルとりたいです」と話した。
沢は昨年8月の都民栄誉賞授賞式で「あなた、総理大臣やりなさいよ」と石原都知事から激励を受けた。招致活動の協力も要請されている。吉田も先週、同知事と対談。選手として結果を出すだけでなく、多くの場で招致を発言することを懇願されている。
来年9月、アルゼンチン・ブエノスアイレスで行われるIOC(国際オリンピック委員会)総会で正式決定される。沢は「選手としては感謝の気持ちでいっぱいです」。銀座パレードは、五輪招致ラストスパートの号砲となった。【鎌田直秀】
◆沢の交友関係 レスリング吉田沙保里とは、お互い恋の悩み相談をし合うなど親交が深い。バレーボール竹下佳江や、競泳の北島康介、フェンシング太田雄貴とも仲が良く、北京五輪以来、お互いの士気を高め合っている。プロ野球選手や芸能界にも友人は多く「私は他競技や他業種の人からも情報を得て成長したいんです。趣味の1つかな」と視野を広げている。