今も破られない10秒49/フローレンス・ジョイナー

88年、ソウル五輪女子100メートルで優勝したジョイナー
<フローレンス・ジョイナー(米国=陸上女子)>
ちょっと縮れた長い髪を後ろに束ね、派手な化粧、ネイルカラーをした長い爪、ハイレグのウエア…名前を聞くと、その姿がすぐに思い浮かぶ。88年ソウル大会で女子100メートル、200メートル、400メートルリレーの3冠。記録もそうだが、記憶に残るランナーだった。
五輪前の全米選手権で100メートル10秒49の世界新。追い風がすごかったなどと「疑惑」を持たれたが、五輪本番決勝で「疑い」を晴らした。スタートからレースをリード、後続のアシュフォード(米国)に3メートル差をつけ、両手の人さし指を上げながら、笑顔でゴールに飛び込んだ。追い風参考ながら10秒54の圧勝だった。
2冠目の200メートル。決勝のスタート直前、大きなあくびをした。ゴール手前10メートルでは白い歯をみせて笑った。会心のレースで21秒34の世界新。ともに歩んできた夫でコーチのアル(ロサンゼルス大会3段跳び金)に「お姫様だっこ」で祝福された。リレーではアンカーを、敬意を表してアシュフォードに譲った。余勢をかって1600メートルリレーではアンカーで出場。ソ連に敗れたが2位になった。
84年ロサンゼルス大会から4年での急激な体形変化、タイム上昇で薬物疑惑もうわさされたが、ソウル大会後、29歳で引退。98年9月、心臓発作のため38歳で死去した。100メートル、200メートルの世界記録はまだ破られていない。