お土産にタトゥー 五輪の思い出刻む
タトゥーの看板が多くみられるカムデンタウン周辺(撮影・石井康夫)
大会も残すところあとわずかとなり、ロンドンの街はお土産を購入する五輪観光客でにぎわっている。人気はやはり、紅茶やエリザベス女王グッズなどの定番もの。そんな中で、一風変わった自分用の土産として注目されているのが「タトゥー」だ。今大会はタトゥーを施した選手が目立ったこともあり、五輪の思い出を“刻む”人々が続々。ある店の彫師によると「五輪マーク」も人気の図柄だという。
ロンドン中心部にある巨大マーケットエリア「カムデンタウン」。細かい路地にまで雑貨店、食べ物の屋台が立ち並び、平日でも多くの市民らでごった返す。歩いていて気づくのは「タトゥー」の看板を掲げた店の多いことだ。呼び込みのインド系男性は「ここらにはタトゥーを彫る店が十数軒はある」。さらに欧州で最もタトゥーの盛んなロンドンで、一番安くて、腕がいい彫師が多くいるのがこの一帯、と自慢した。
「タトゥー&ピアス」と書かれた1軒をたずねた。見事なタトゥーを全身に施した女性店主が、絵柄を相談しているのか、客と話し込んでいる。しばらく待っていると、新たな客が次から次へ。かなりの繁盛ぶりだ。店主は「普段からカムデンには世界中の人がやってくる。フランス、イタリア、ドイツ…。最近は五輪のユニホームを着た人もよく来るわ」と話した。
別の店の男性彫師は「1番人気は五輪マーク」という。料金は大きさによって60~80ポンド(約7500円~1万円)、30分~1時間ほどで完成する。「思い出にという海外の観光客が多いが、選手もくるよ。五輪スピリットをずっと忘れないようにって」。地元紙によると、英女子バスケットボール代表メンバーも、そろって五輪マークのタトゥーを入れたという。
英国でも、タトゥーはかつては不良のイメージが強かった。英国風俗に詳しい人物によると、サッカー元イングランド代表デービッド・ベッカムのタトゥーが話題になったころからイメージが変わり、ごく普通の若者にも急激に浸透し始めたという。長年英国で暮らす日本人は「日本の『入れ墨』とは違って、あくまでファッション。ピアスを開ける程度の軽い感覚」と話した。
確かにどこの店の店内もアンダーグラウンドな感じはなく、いたって清潔で明るい雰囲気だった。ただ時節柄、日本への土産としてタトゥーはちょっと重すぎるのか「日本人? うちではあまり見ないね」(男性彫師)とのことだった。