日立製の「やり」で小旅行
ロンドンの高速鉄道「ジャベリン」(撮影・田崎高広)
ロンドン入りして丸1週間が過ぎた。毎朝、電車を乗り継ぎ、市東部にあるオリンピックパークまで移動するのだが、これが快適な小旅行だ。宿泊ホテルから地下鉄で2駅目、セント・パンクラス国際がある。そこからオリンピックパークの最寄り駅「ストラトフォード国際」までは、「ジャベリン」と呼ばれる高速列車に乗る。20キロ以上をわずか7分という速さだ。
渡英直後、このジャベリンに乗った。尿意をもよおし、トイレに入った。用を足して、いざ出ようとしたが、カギが開かない。焦った。わずか7分で到着する。車内アナウンスが流れ出した。まずい…。中からガチャガチャと必死に格闘したところ、間一髪のタイミングでドアが開いた。外にいた乗客の方が状況を察し、開けてくれた。乗り過ごせば、いったいどこまで行ってしまったのか。以来、ジャベリンのトイレではカギをかけないことにした(我慢すればいいのだが)。
ジャベリンとは、英語で「やり」のこと。とんがった形状からそう名付けられたという。なんと日立製作所製だ。五輪を支える日本の力は、こんなところにもある。開幕まで、あと4日。私もロンドンの風を突っ切る「矢」となり、取材現場を駆けめぐろう。【佐藤隆志】