豪華絢爛「タダ見」の代償
すばらしいエンターテインメントの数々に時がたつのを忘れた。五輪の開会式といえば、84年のロサンゼルスで、空から人が飛んできてフィールドに下り立つ映像は鮮烈だった。だが、それ以外は正直なところ、よく覚えていない。メディア仲間に「開会式って、1時間くらいで終わるのか?」と真顔で尋ね、「高校野球じゃあるまいし」と笑われた。
現地時間27日午後8時。9機の戦闘機がスタジアムの上空を飛び、セレモニーが始まった。まさに英国の歴史が凝縮された「夢の劇場」だった。「ミスタービーン」あり、「007」あり。最後の締めはポール・マッカートニーだ。これぞ豪華絢爛(けんらん)。英国カルチャーに圧倒された。開会式が終わったのは、28日の午前1時。仕事とはいえ、タダですごいものを見せてもらった。だが、すぐ現実に引き戻された。
オリンピックパークからのシャトルバスは大行列。帰りたくても帰れない。結局、ホテルにたどり着いたのは、2時間後の午前3時すぎ。寝る間もなく、朝からいよいよ競技取材が待っている…。命の洗濯もつかの間、これから身を粉にして皆さんにロンドンの熱気をお伝えします。【佐藤隆志】