声、声、声
ロンドンは、実に「声」が多い。地下鉄や電車に乗ると、日本で言う「次は~○○。○○線はお乗り換えです」等のアナウンスが流れる。僕らの仕事場プレスセンターのエレベーターは「○階です。ドアが開きます」と知らせてくれる。目的の駅を乗り過ごさないよう、停車するたび血眼になって駅名を探すほかの欧州各国とは、大きく違う。なんだか日本に似ている。
ボランティアや軍隊の人たちも、目が合えば「モーニンッ」「ハブ・ア・グッナイッ」と声を掛けてくれる。立ち止まり、周りを見回すだけで「何かお困り?」と話しかけてくれる。ただ先日、試合会場でブロンド美女に道を尋ねられ、答えようとしたら「私がお答えしましょう」と男性ボランティアに奪われた。そこは日本と違うかな。
プレスセンターを離れたのが疲れ切った夜1時半だった日。タクシーに乗ると、陽気な運転手は自分が日本人だと知り「競泳のあの日本の子はかわいいね」と言ってきた。聞くと平泳ぎの鈴木聡美だった。日本でもちょっと話題になっているようだと、寝ぼけた頭で頑張って伝えると「そうだろ、そうだろ」。その辺も日本に似てるのかな。ただ興奮したのか、その後もずっと早口でまくしたてる。その声のおかげで、まったく眠れず…。【今村健人】