ATUATU KIZAMIを食べた
ロンドンで讃岐うどんを食べた。大会期間中、初めて夜に時間が空いた。そこで「四国生まれの佐藤さんに、ぜひ食べてもらいたい」。現地通信員が連れて行ってくれたのが、映画館が立ち並ぶ歓楽街ソーホーにある「こや」。周りの風景とは不釣り合いなのれんがかかり、店の前には行列ができる繁盛店だった。
列に並んで待っていると、「ここ『手打ち』だからおいしいんですよ」。声の方に振り向くと、れっきとした欧米人。流ちょうな日本語で「手打ち」という言葉にびっくり。話を聞けば、以前に日本で生活していたそうで「月に1、2回はうどんを食べにきますよ」。その言葉通り、実際食べた味に、またびっくり。メニューの「ATUATU(アツアツ)」から「KIZAMI(きざみ)」を注文。つるつるでコシのある麺は本場さながら。疲れた心と体に染み入るものだった。
郷に入れば郷に従え。その環境に入れば、習慣ややり方に従うのが賢く生きる方法なのだが、ロンドンに滞在してもうすぐ1カ月。生活様式にはずいぶん慣れたつもりでも、やはり味覚だけは変えられない。寝食削った五輪取材も残りわずか。うどんの味が、最後の粘りとなって効きそう。くーっ!【佐藤隆志】