ようやくなれた「持ってる記者」
気がつけば、五輪もあと1日になってしまった。前半戦は会社内でよく言われていたなぁ。「今村は持っていない」と。担当している柔道が、予想された金メダルラッシュを裏切ってしまったからだ。国内では自分が戦犯扱いされていたらしい。
反対に、戦前の予想を上回る成績だった重量挙げやアーチェリーに足を運んだ近間先輩が「持ってる男」NO・1記者に輝いていた。「いや、やっているのは選手だから」「取材しているのは自分だけじゃないです」などと反論する言葉がどこか薄っぺらいのは自分でも分かってる。記者は結構気にするもの。後半戦のレスリングに影響しなければと、真剣に考えていた。
でも、ふたを開けてみれば女子は3階級で金メダルを獲得。特に記者の間でも「今回はもしかしたら…」と、負けも覚悟していた吉田沙保里が取ってくれたときは皆、違う意味でもホッとした。
ところで「持ってる」「持ってない」の話に戻すと、とある記者が「自分かも…」と告白してきた。聞けば、見ていると選手が敗れ、離れたときに別の選手が金メダルを獲得。そして、足を向けた先でも負けてしまったとか。柔道も含めて金メダル原稿は1度も書けていないと嘆いていた。
だから余裕をもって言いました。「気にすることないでしょ。プレーしているのは選手なんだから」。【今村健人】