錦織4強ならず「4年後メダル」/テニス
第1セット、ポイントを奪われ天を仰ぐ錦織(撮影・田崎高広)
<ロンドン五輪:テニス>◇2日(日本時間3日)◇男子シングルス準々決勝
世界ランク17位の第15シード錦織圭(22=日清食品)は、同9位で第8シードのフアンマルティン・デルポトロ(アルゼンチン)に0-2で敗れた。1920年アントワープ五輪で、日本五輪史上初メダルの銀メダルを取った熊谷一弥以来92年ぶりの4強入りはならず。前日には同5位のフェレール(スペイン)を撃破し、日本人88年ぶりの8強進出。この試合も第2セットでタイブレークまで持ち込む粘りを見せたが、最後は過去3戦全敗だった相手に屈した。
強い風が吹き、はげた芝から砂ぼこりが巻き上がるコートで、錦織の顔が次第に険しくなった。198センチの長身からの最速211キロの強力なサーブで攻め立てる相手に、強気の姿勢を最後まで崩さなかったが、壁は高かった。敗退が決まるボールがネットにかかると、下を向いてうなだれた。「後半にプレーが良くなってきていたので、第2セットを取っていれば流れは変わっていた。悔しいです」。言葉を絞り出した。
第1セットの第2ゲームでブレークを許したが、すぐにブレークバックした。1カ月前のウィンブルドン選手権ではストレート負け。「光が見えない」とうなだれた姿は、この日はない。先に攻撃を仕掛け、前に出る。第2セットでは、2-5から3ゲーム連取。力強いガッツポーズに、観客も沸いた。タイブレークまで持ち込んだが、最後は3戦で1セットも取ったことがない相手に競り負けた。
赤いシャツに白のパンツの「日の丸カラー」。村上監督は「幼い頃から米国に住んでるから、日本に対する気持ちが強い。普段は見せないガッツポーズを出したり、意気に感じている」と話していた。国を代表する自覚が、より一層の充実につながっていた。
前回の北京五輪では「硬くなって自分のプレーが全然できなかった」と1回戦負け。この4年で実力をつけ、1回戦では五輪で日本男子88年ぶりの勝利を挙げた。前日には格上のフェレールも撃破した。「(ベスト8は)うれしい気持ちもあり、大きな意味がある。4年後はもっと強くなってメダルを取ればいい」。新たな偉業は逃したが、4大大会並みにトップ選手がそろった五輪で確かな存在感を示した。