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千田、亡き親友に感謝/フェンシング

応援団へあいさつする千田(撮影・菅敏)

応援団へあいさつする千田(撮影・菅敏)

<ロンドン五輪:フェンシング>◇5日(日本時間6日)◇男子フルーレ団体決勝

 日本が団体史上初のメダルとなる銀メダルを獲得した。世界ランク2位中国、同3位ドイツの格上を撃破して勝ち上がった決勝。同1位イタリアには39-45で惜しくも敗れた。

 被災地にメダルを-。その思いが届いた。「これで喜んでくれたら、自分もうれしい」。千田健太(27=ネクサス)は故郷の宮城・気仙沼の人たちを思い、静かに笑った。

 東日本大震災で、岩手・陸前高田市職員だった親友の小野寺諭さん(享年25)を亡くした。北京五輪の帰国時、脚光を浴びた太田の後ろで誰にも声を掛けられずに歩いた。「フェンシングをやめようかな」と漏らすと「ロンドンはお前の番だろ!」と怒られた。鼓舞してくれた親友だった。その小野寺さんの母礼子さん(61)が、スタンドで遺影を掲げていた。「ずっと支えてきてくれた大切な友だち。天国で喜んでくれていると思う。本当に、ありがとうと言いたい」。

 そして感謝を伝えたいもう1人、幻の80年モスクワ五輪代表だった父健一さん(55)も見守っていた。父の影響で、中学1年秋から始めた競技。有利だからと左利きに変えさせられた。実家にはモスクワ五輪代表の証明書が飾られ、指導は厳しかった。今も、電話で話せば技術論になる。「本当に信じられない」と感激した父。千田は「個人戦で負けて、客席ですごくうるさかったみたいですけど、これでもう何も言わせないです」と、いたずらっぽくほほ笑んだ。

 ◆千田健太(ちだ・けんた、ネクサス)北京五輪個人11位。父はモスクワ五輪の幻の代表。170センチ、69キロ。27歳。宮城県出身。

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