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太田、骨折耐え団体銀/フェンシング

勝利に喜ぶイタリアの選手たちを前に同僚に謝る太田(撮影・菅敏)

勝利に喜ぶイタリアの選手たちを前に同僚に謝る太田(撮影・菅敏)

<ロンドン五輪:フェンシング>◇5日(日本時間6日)◇男子フルーレ団体決勝

 日本が団体史上初のメダルとなる銀メダルを獲得した。北京五輪個人銀メダルの太田雄貴(26=森永製菓)は、右手甲の骨折が完治しないまま戦っていたことが分かった。世界ランク2位中国、同3位ドイツの格上を撃破して勝ち上がった決勝。同1位イタリアには39-45で惜しくも敗れたが、仲間の千田健太(ネクサス)、三宅諒(慶大)、淡路卓(ネクサス)のためにエースは戦い抜いた。

 首に掛けられた銀メダルは、すぐに外した。「表彰式が終わったら掛けない主義」とはぐらかす太田は、狙った色と違うメダルに悔しさがあった。だが、言葉は仲間への思いやりであふれた。「僕はもう人生でメダルを取ったことがある。でも、ほかの3人は取ったことがなかったので、何とか首に掛ける物をプレゼントしたかった。果たせて良かった」と充実感に浸った。

 準決勝ドイツ戦の最後9試合目。残り1秒で追いつき、延長戦で番狂わせを起こした。頼れるエースが背中で引っ張り、決勝の王者イタリア戦前には「出せるものはすべてピスト(競技場)の上に置いてこよう」と声を掛けた。1カ月前に黒沢明監督の映画「七人の侍」を見せたマチェイチュク・コーチも「金と銀はロンドンと東京くらい隔たりがあると言って鼓舞しようとしたが、彼らには既に炎のようなものがあった」。

 王者相手に譲らず一進一退の攻防。第6試合では太田が、個人3回戦で敗れた世界1位カッサーラに7-5と勝ち越し、1点差にまで詰め寄った。そのエースは最後、09年世界王者バルディニに屈したが「相手の方が一枚上手だった。でも、試合内容は恥じるものではない」と胸を張った。

 ケガをおしての戦いだった。2年前、練習中にぶつかり、右手甲を骨折した。病院で、練習したままでは「ダメだ。くっつかない」と言われた。だが、金メダルを取る目標のためには、休めなかった。折れたまま、だましだまし続けてきた。今年に入って痛みが再発した。大会1カ月前には茨城県へ剣を探しに行った。普段300グラム以上ある重さを300グラム以下に抑えた。負担を軽くして、痛みを引き起こさないためだった。

 北京五輪で「神さまが取らせてくれた」という銀メダルを獲得し、やめることも考えた。しかし、親しくしている五輪3連覇の柔道野村忠宏に「おれは五輪で負けたことがないけどな」と言われて気持ちが再燃した。09年には1人でフランスに渡り、武者修行。世界ランク1位も、惨敗も味わってきた。そしてケガも…。幾多の苦難を乗り越えて、仲間と並んだ表彰台。「若いのが出てきてくれて4年後も頑張るでしょう。僕は…未定です」。そう言って競技場を後にした。【今村健人】

 ◆太田雄貴(おおた・ゆうき、森永製菓)08年北京五輪個人銀メダル。171センチ、68キロ。26歳。滋賀県出身。

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陸上評論・瀬古利彦

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