理恵、現役続行「引退やめました」

兄と弟の演技をスタンドから見守る田中理恵(撮影・たえ見朱実)
体操女子の田中理恵(25=日体大研究員)が、現役を続行する可能性があることが7日、分かった。兄弟の種目別平行棒決勝が終わった後、会場で日刊スポーツの取材に答えた。
以前は「25歳でオリンピックが終わったら引退したい」と話していた。しかし、五輪で体操のおもしろさもつらさも味わったことで心に変化があった。
理恵 まず引退をすると決めていたのはやめました。12月31日までは、まだ現役選手。その時まで一生懸命やる。その後、考えようと決めました。だから、その時に体操をしたかったら続けるかもしれない。
3きょうだいの五輪が終わった。この日も、理恵は観客席で兄弟の平行棒を見守った。
理恵 夢みたいです。本当に兄と弟には感謝している。実は、3きょうだいが注目されたとき、兄や弟に迷惑をかけていると思って、逃げ出したくなったことがあるんです。でも、3きょうだいで本当に良かったと思う。
父章二さんは「最後まであきらめない」心を、常に教えてきた。その言葉を、3人の子供が実践した。理恵は、2日の女子個人総合決勝を16位で終え全日程を終えた。その翌日、両親に感謝のメールを送った。
理恵 お父さんとお母さんが背中を押してくれたから五輪に立てました。感謝の気持ちでいっぱいですと、メールを送ったんです。
母誠子さんから、すぐに返信が来た。
理恵 昔はいつも何かあると人のせいにしていたね。お母さんが来るから負けたとか。でも、オリンピックに立っている今、自分できちんと責任を取れる大人になったね、って返事が来ました。めっちゃ泣きました。
理恵の目に、みるみるうちに涙が浮かんだ。現役を続行する可能性もあるが、五輪は最後。3きょうだいは、この日を境に、それぞれの目標に向かって再出発する。【吉松忠弘】