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コラム Nikkan Olympic Column
五輪ヒーロー・ヒロイン列伝 五輪コラム

五輪ヒーロー・ヒロイン列伝

 ロンドン五輪では日本選手への期待はもちろん、大舞台で新たなヒーロー、ヒロインの登場も楽しみなところ。あなたの記憶に今も残る、偉大なアス リートたちをプレーバックする。

このペースでいいのか?/エミール・ザトペック

64年10月、東京五輪で来日したザトペック氏
64年10月、東京五輪で来日したザトペック氏

<エミール・ザトペック(チェコスロバキア=陸上男子)>

 プロ野球阪神の故村山実投手が、歯を食いしばって全力で巨人の王、長嶋を打ち取っていく姿は「ザトペック投法」と称された。52年ヘルシンキ大会。5000メートル、1万メートルに加え、初めて走ったマラソンの長距離3冠を達成した。

 体をくねらせ、口を開けて苦悶(くもん)の表情で走る。「人間機関車」「心臓にナイフを突き立てて走る男」と呼ばれた。5000メートルを14分6秒6の世界新で制し、1万メートルでは29分17秒0で48年ロンドン大会に次いで2連覇。その勢いでマラソンのスタートラインにも立ってしまった。「どうやって走ればいいか分からなかった」と、トップ集団について優勝候補ヤンション(スウェーデン)らに「このペースでいいのか?」と聞きながら走り、2時間23分3秒で2位に2分半以上の差をつけて優勝した。

 81年に来日し、58歳で多摩ロードレースに参加。36年ベルリン大会5000メートル、1万メートルとも4位の故村社講平さんの姿に感動して長距離を始めたこともあり、75歳の村社さんと5キロを走り「夢がかなった」と喜んだ。00年、78歳で死去した。

 [2012年7月21日14時16分]



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