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コラム Nikkan Olympic Column
ロンドンの風~記者コラム~ 五輪コラム ロンドンの風~記者コラム~

 現地派遣記者による日替わりコラム。一風変わった観客、記者席で絶叫する外国人記者、選手の家族など、取材でのこぼれ話を中心にお届けします。

小さな町の運動会から始まった夢

 華やかな閉会式を見ながら、7カ月前のことを思い出した。1月に訪れた英国中西部の小さな町、マッチウェンロック。近代五輪発祥の地である。人口約2500人。時計塔がある町の中心から半径150メートルほどに、店や石造りの住居が立ち並ぶ。そこを外れると、もう田園風景が広がる。

 町の博物館を訪れた。歴史をひもとくと、1850年代半ば。当地に暮らすブルックス医師は地域住民の健康と知性の向上を狙い、古代ギリシャをまねた「マッチウェンロック・オリンピック」を開催した。徒競走に始まり、自転車競技、石投げなど。小さな町の運動会は、恒例行事となった。そして1890年、フランス人のクーベルタン男爵が学校体育の視察のため、当地を訪れた。これが発端となり、1896年4月、アテネで最初の五輪が開催されるに至ったという。

 町の外れに大きな広場があった。聖火を描いたモニュメントが備えられていた。その前に立つと博物館で見た光景がよみがえった。同時に、息づかいまで伝わってくるような気がした。

 閉会式。ジョン・レノンの顔がアップで映し出され、シンプルなピアノ音とともに名曲「イマジン」が流れる。歌詞のくだりに「君は僕のことを夢想家というかもしれない。でも、僕はたった1人じゃない」。夢を描く人がいて、そこへまた夢を重ね合わせる人もいる。五輪とはそういうものなんだろう。「小さな町」の先人たちの思いが、「より大きな」感動を与えてくれた。【佐藤隆志】(おわり)

 [2012年8月14日9時17分 紙面から]





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