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コラム Nikkan Olympic Column
五輪ヒーロー・ヒロイン列伝 五輪コラム

五輪ヒーロー・ヒロイン列伝

 ロンドン五輪では日本選手への期待はもちろん、大舞台で新たなヒーロー、ヒロインの登場も楽しみなところ。あなたの記憶に今も残る、偉大なアス リートたちをプレーバックする。

「地球上の話?」的大跳躍/ボブ・ビーモン

<ボブ・ビーモン(米国=陸上男子)>

 68年メキシコシティー大会の快挙。走り幅跳びの「超躍」は、1回目に生まれた。191センチ、70キロの体。助走、踏み切り。手足をばたつかせず、大きく体を反らせた後、両手、両足を前方に投げ出すような空中フォーム。計測する役員たちの頭の上を越えるような高さから、膝を抱え込むように着地した。すごい記録が出たのが自分でも分かったように、何度もジャンプをしながら、計測を待った。

 なかなか記録が出ない。目安となる世界記録(8メートル35)の目印を越えてはいたが、計測員が巻き尺を持ってきて何度も測った。電光掲示板の数字は「8・90」。従来の記録を一気に55センチも更新する大記録。両手で顔を覆い、ひざまずいて号泣する。地面に何度もキスをした。「この数字は地球上での話かい?」。本人にも信じられない記録だった。

 従来の世界記録をこれほど大幅に、何年分、何人分も一気に更新してしまった例はこのときぐらいだろう。91年東京世界陸上でパウエル(米国)に5センチ更新されるまで、23年間も破られなかった。「まだ五輪記録は私のもの」と、話している。

 [2012年8月1日14時7分]



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