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コラム Nikkan Olympic Column
体操評論・米田功 五輪コラム 体操評論・米田功

 ◆米田功(よねだ・いさお)1977年(昭52)8月20日、ドイツ・ハンブルク生まれ。8歳から体操を始め、全国中学個人総合優勝。清風高から 順大に進学し、98年NHK杯で、03年全日本で個人総合初優勝を遂げた。04年アテネ五輪で日本男子主将として28年ぶりの金メダルに貢献。種 目別の鉄棒でも銅メダルを獲得した。

“奇跡のミス”と考えよう

<ロンドン五輪:体操>◇28日◇男子団体予選

 日本は流れが悪すぎた。1番手の田中和が鉄棒、床運動、あん馬の前半3種目でミスが出た。予選は4人演技して3人の合計点。しかし、1番手がミスをすれば、続く選手はミスができないと重圧がかかる。まるで、3人演技で全員の合計点で勝負する決勝を戦っているように感じたのではないか。

 内村の鉄棒の落下も、その重圧の中で起きたと思う。コールマンは、いつもより高さがなく、勢いがなかった。慎重になりすぎたのかもしれない。それなのに、丸めた体を開くのが通常と同じように早く、タイミングが狂ってバーをつかみ損ねたように見えた。

 内村がよく話す「普段通り」というのは、善しあしだろう。気持ちが盛り上がりすぎて自分を見失うのは論外だが、五輪の緊張感をうまく利用することも必要だ。自分の場合は、初日が大事だと言い聞かせ、常に気持ちを盛り上げた。内村はプレッシャーを逆に力に変えられるからこそ特別な選手なのだ。

 団体は5位発進。ただ、あまり心配はしていない。決勝でのメダル争いは、合計275点が目安になる。その合計点に乗せられるのは、やはり日本、中国、米国の3カ国だ。英国が予選2位で通過したが、3カ国が力を出せば及ばないだろう。内村は、予選は“奇跡”的なミスが起きてしまったと考えた方がいい。すぐに忘れれば、決勝ではいつもの演技ができると信じている。(日刊スポーツ評論家)

 [2012年7月30日11時10分]



五輪体操コラム

Nikkan Olympic Gymnastics Columns
体操評論・米田功

体操評論・米田功

アテネ五輪団体総合金メダリストの米田功氏が五輪体操を評します。

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