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コラム Nikkan Olympic Column
五輪ヒーロー・ヒロイン列伝 五輪コラム

五輪ヒーロー・ヒロイン列伝

 ロンドン五輪では日本選手への期待はもちろん、大舞台で新たなヒーロー、ヒロインの登場も楽しみなところ。あなたの記憶に今も残る、偉大なアス リートたちをプレーバックする。

プロ化促進、金メダルショー/カール・ルイス

ロサンゼルス五輪・陸上男子100メートルで圧勝したカール・ルイス
ロサンゼルス五輪・陸上男子100メートルで圧勝したカール・ルイス

<カール・ルイス(米国=陸上男子)>

 第1回は陸上男子で金メダル9個を獲得し、世界的ヒーローとなったカール・ルイス(米国)。戦後、日本が五輪復帰した1952年ヘルシンキ大会以降、世界を沸かせた選手たちをもう1度、思い出してみたい。

 84年ロサンゼルス大会は「ルイスのための大会」と呼ばれる。陸上男子100メートル、200メートル、走り幅跳び、400メートルリレーの4冠を狙うとの宣言通り、36年ベルリン大会のオーエンス(米国)と同じ史上2人目の4冠をやってのけた。

 競技初日、100メートル1、2次予選で快走し「ショー」は幕を開けた。翌日はまず準決勝を10秒14で制し決勝へ。いつも通り、スタートでは遅れるが、口を半開きにし、手を開いて大きく振る「ルイス走法」で70メートル過ぎから一気に加速。最後は笑みを浮かべて9秒99をたたき出した。

 走り幅跳び決勝では、200メートル予選2レースをこなしてから登場。1回目に8メートル54を跳び、2回目ファウルで試技をやめ、2位に30センチ差の圧勝。足の皮がむけたのが理由だったが、物議を醸す2冠目だった。200メートルでは直線に入ったところでトップに立ち、バプチスト(米国)の追い込みを振り切る19秒80で3冠。最後は400メートルリレー。アンカーでカナダと並ぶようにバトンを受け取ったが、走りだした瞬間からもう独り舞台。37秒83と4冠目を世界記録で飾った。

 「金メダルを金に変える男」として五輪を「ビジネス」に結びつけた。スポンサー料や出場ギャラ、CMなどで五輪前には既に年収2億円を超え、五輪後はさらに増えた。NFL、NBAがドラフト指名したが「プロ入りしたら収入が減る」と拒否。五輪選手全体の「プロ化」を促進した。

 88年ソウル大会、100メートル決勝では2位でゴールしたが、1位ベン・ジョンソン(カナダ)のドーピング失格で繰り上げ金に。走り幅跳びと2冠だった。92年バルセロナ大会では走り幅跳び、400メートルリレーで2冠。最後の96年アトランタ大会、走り幅跳びでオーター(米国=円盤投げ)に並ぶ五輪4連覇を達成した。陸上金メダル9個は大会最多。それ以上に、五輪を変えた役割は大きい。 

 [2012年7月17日12時35分 紙面から]



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