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現地レポート 五輪の光と影 五輪コラム 現地レポート 五輪の光と影

 社会部事件担当の石井康夫記者が英国社会の深層に迫る。五輪会場の内外に目を向け、現地住民の反応から、ホスト国の社会問題を多角的に取り上げる。

汚くてゴミんなさい 歴史の街足元見れば

観光名所ビッグベン周辺に捨てられたゴミの山
観光名所ビッグベン周辺に捨てられたゴミの山

 ロンドン市内を歩くと、歴史と威厳を感じる建築物が並ぶ街並みに魅せられる。だが、ふと足元に視線を移せば、至る所にペットボトルや食べ残しがゴロゴロ。ロンドンは以前から路上ゴミの多さを指摘されてきたが、五輪開催による観光客急増でさらに悪化しているという。市ではマナーを守るよう呼び掛けているが…。

 ロンドンの街中には、とにかくゴミが多い。ペットボトルやコンビニ袋、フライドポテトの食べ残しまで、人々が無造作に捨てたゴミが路上に散乱している。地下鉄の車内には、いくつもの新聞が半開きのまま床に広がり、空き缶が電車の揺れに合わせて転がり続ける。

 吸い殻の多さも目立つ。英国では基本的に屋根がある場所でたばこは吸えないため、必然的に路上喫煙が多くなる。同国伝統の酒場「パブ」の前などは吸い殻の山。日本の一部自治体のように歩きたばこで罰金を取られることもないので、ポイ捨ても日常茶飯事だ。

 こうしたロンドン市民のゴミに対するマナーの悪さについては、五輪前から度々指摘されてきた。市当局は「開催地として恥ずかしい。きれいな街にして開幕を迎えたい」と、昨年から清掃のボランティア4000人を動員。街の美化に取り組んできた。

 駅構内にもゴミはゴミ箱に入れるか、持ち帰るよう呼び掛けるポスターを掲示してきた。だが、長年の“習慣”からほとんどは改善はみられなかったようで、五輪が始まると一部観光客らのポイ捨ても重なり、さらにゴミは増加傾向にあるようだ。

 市当局は朝夕だけでなく、昼間も街の清掃作業を行うなど対策を行っているが、現地在住の日本人女性は「ロンドンは家庭ゴミの収集は週1回。ビンや缶など分別の強制もないので、もともとゴミに対する認識が低い」と指摘。さらに「いまさらだが、まずはそこから始めないと…」と指摘した。

 今回の五輪は二酸化炭素やゴミの削減など「史上、最も環境に配慮した大会」との看板を掲げている。その看板を下ろさないためにも、まずは市民が手本を見せることが必要のようだ。

 [2012年7月31日8時35分 紙面から]



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