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コラム Nikkan Olympic Column
敗者の美学 五輪コラム 敗者の美学

 勝者がいれば、必ず敗者がいる。「敗者の美学」では日本人選手はもちろん、海外の選手も含めた「敗者」の人間ドラマをクローズアップ。記者が思い入れたっぷりに語ります。

「スエマエ」大粒の涙 名コンビ幕/バドミントン

<末綱聡子、前田美順:バドミントン女子ダブルス>

 「スエマエ」としては最後の五輪だったかもしれない。勝っても他の2ペアに得失ゲーム差で及ばない。バドミントンの女子ダブルスで、北京五輪4位の末綱聡子(31)前田美順(26=ともにルネサス)組は、31日の最終戦を勝ったが、1次リーグ敗退が決まった。「最後は勝って終わりたかった。ここまでついてきてくれた前田に感謝している」。末綱の目から大粒の涙が落ちた。

 バドミントンが好きだから引退はしないという。しかし、ロンドン五輪を目指すために手術した右膝は今でも氷で冷やすことが多い。五輪レースの過酷さは、末綱自身がよく知っている。以前「前田は別のペアでも五輪に出られる」と話したこともあり、スエマエとしての五輪挑戦は最後の可能性が高い。

 典型的な負けず嫌いのペアだった。以前は試合中に話をしなくなることで有名で、お互いに勝手なプレーでコンビも何もなかった。しかし、北京五輪を目指すと決めてから、5歳違いの先輩、後輩は会話が多くなり、名コンビへと成長した。

 日本バドミントン史上五輪最高成績の北京五輪4位入賞も、負けず嫌いの産物だった。「オグシオがバドミントンの代名詞だった。でも、絶対に負けたくないと思っていた」(前田)。その思いが、07年世界選手権覇者の中国ペアを破る原動力となった。

 負けず嫌いで人見知り。華やかに散るタイプではない。しかし、この8年間、日本の女子ダブルスの先頭に立って走り続けてきた苦労は、十分に人生のメダルに匹敵する。【吉松忠弘】

 ◆末綱聡子(すえつな・さとこ)1981年(昭56)1月30日、大分県生まれ。昭和女高卒。168センチ、59キロ。

 ◆前田美順(まえだ・みゆき)1985年(昭60)10月14日、鹿児島県生まれ。熊本中央高卒。169センチ、61キロ。

 [2012年8月2日10時41分 紙面から]



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