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コラム Nikkan Olympic Column
敗者の美学 五輪コラム 敗者の美学

 勝者がいれば、必ず敗者がいる。「敗者の美学」では日本人選手はもちろん、海外の選手も含めた「敗者」の人間ドラマをクローズアップ。記者が思い入れたっぷりに語ります。

福士、充実の笑顔/陸上

<福士加代子:陸上女子1万メートル>

 3度目で初めて見せた充実の笑顔だっただろう。陸上女子1万メートルで、福士加代子(30=ワコール)が日本人2番手の10位に入った。初めて出た04年アテネ五輪は、トップから2周も遅れて26位。08年北京五輪は11位だった。「トラックの女王」と呼ばれてから10年以上、ようやくトップ10入りを果たした。「力尽きちゃった。トップ10切れね~、残念。新谷、強えなあ、アイツ」。

 まさに「ケラケラ」という表現がぴったりな笑いは、気遣いの証しでもある。時に過激とも思える発言があるが、青森・五所川原工で指導した安田信昭氏は言う。「ああ見えて、すごくナイーブで。周囲をよく見ています。リップサービスが過ぎるときもありますが、気配りできる子なんですよ」。レース後も「金メダルを狙っていた」と言い、真剣な顔で聞く周囲を見渡した。「ハハハ、おもしろかった?」と冗談にした。

 この日は「日の丸3人娘」の“長女”として、次女吉川と新谷を引っ張った。序盤から先頭に立ち、周囲に声を掛ける。6000メートル過ぎまで、縦長だった12人の先頭集団にいた。「2度のスピードの変化に対応できた。だいぶ(スタミナの)使い方がうまくなってると思うんですけどね」と手応えもあった。

 目指したマラソンでの出場はかなわず、3度の五輪はすべてトラックで出た。30歳。4年後のリオは年齢的には厳しい戦いになる。でも、ガムシャラに走っていた10年前とは違う、強さも身につけたと感じる。「また次、頑張りま~す」。多くの報道陣に囲まれていた新谷の姿をうれしそうに見ながら、静かに去っていった。【近間康隆】

 [2012年8月5日9時52分 紙面から]



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