日本が挑む100年目の五輪、ロンドン大会が目前に迫った。1912年のストックホルム大会に日本が初参加してから1世紀、「五輪100年の記憶」として歴史を振り返る。【荻島弘一編集委員】
スポーツ立国実現へ「人を育てる」
ロンドン五輪開幕まで1カ月と迫った6月26日、東京・北区の味の素ナショナルトレーニングセンターで「五輪参加100周年の集い」が開催された。1912年ストックホルム大会に選手2人の日本選手団が参加してから100年。冒頭では、夏と冬の五輪挑戦の歴史も紹介された。
この100年で、日本のスポーツを取り巻く環境は大きく変わった。64年東京五輪開催を控え61年に制定された「スポーツ振興法」は昨年8月、50年ぶりに全面改正されて「スポーツ基本法」として施行された。「国家戦略としてスポーツに関する施策を推進する」中には、もちろん競技力向上も盛り込まれている。
日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長は「日本のスポーツは企業が支えてきた。今は企業に頼れないが、今度は国が支えてくれるようになった」と話す。01年には東京・北区に国立スポーツ科学センターが総工費274億円で完成。08年にはナショナルトレーニングセンターが同じく370億円でできた。
本年度のスポーツ関連予算は238億円で10年前の倍。メダル有望14競技に対して多角的にサポートするマルチサポート事業費27億円など、32億円が競技力向上プログラムとして計上されている。「この100周年は次の100年のスタート。ロンドン五輪、20年東京五輪招致とステップ・バイ・ステップで取り組みたい」と竹田会長は話した。
日本選手団の上村春樹団長は「一番大事なのは人を育てること。いくら環境が整っても、それを使える人がいなければ意味がない」と話した。「人を育てる」は100年前、初めて五輪日本選手団団長となった嘉納治五郎氏の言葉と同じ。日本が「スポーツ立国の実現を目指す」(スポーツ基本法)次の100年へ、その第1歩となるロンドン五輪は27日に開幕する。(おわり)
(2012年7月5日付、日刊スポーツ紙面より)
[2012年7月26日16時39分]
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