日刊スポーツのニュースサイト、ニッカンスポーツ・コムです。



コラム Nikkan Olympic Column
オッギーのOh!Olympic 五輪コラム オッギーのOh!Olympic

 荻島弘一編集員による日々の話題、トピックスなどを取り上げる社会派コラム。これまでの取材経験や過去の五輪取材などを絡め、批評や感じたことなどを鋭く切り込む。

マーク厳しく 関塚日本真価はこれから

 なでしこジャパンに続くサッカー男子代表の勝利。FW永井のスピードはスペインの守備陣をパニックに陥れたし、吉田を加えた守備は安定していた。「マイアミの奇跡」と比べられるけれど、内容は違う。96年はシュート数4対28だったけれど、今回は10対6。相手が1人少なかったとはいえ内容も圧倒的だった。選手たちが「奇跡ではない」というのも当然だろう。

 女子ばかりが注目されるが、ひそかに男子に期待していた。日本協会の原博実技術委員長も「男子は面白いよ。女子よりいいかも」と話していた。「プレッシャーがないからね」とも。96年に女子が採用されてからも、いつも注目は男子。しかし、今回は違う。言い方は悪いが、初めて男子が「脇役」に回った。

 五輪で勝つ選手、チームには2通りある。金メダルへのプレッシャーに打ち勝って獲得するパターンと、重圧のない中で手にするパターン。「無欲の勝利」と呼ばれる後者は、意外と多い。サッカー男子は「メダルを狙う」と公言しているから「無欲」ではないだろうが、プレッシャーの大部分を女子が背負ってくれているのは間違いない。

 W杯王者として世界中からマークされる女子に比べて、男子は伏兵。マークも厳しくない。少しスカウティングをすれば、永井のスピードは分かること。スペインのミジャ監督は「驚いた」けれど、それだけ日本を甘く見ていたということだろう。情報のない初戦だったことも、永井のスピードが生きた要因だった。

 勝つにつれて、徐々にマークは厳しくなる。優勝候補に勝ったのだから、なおさらだ。警戒されたからといって簡単に永井のスピードが落ちることはないが、走らせない工夫はしてくるだろう。1次リーグを突破すれば、女子並みのプレッシャーもかかってくる。見事な采配、戦略を見せた関塚監督だが、本当の腕の見せどころはこれからだ。【編集委員・荻島弘一】

 [2012年7月28日8時58分 紙面から]



最新ニュース

記事一覧

[an error occurred while processing this directive] [an error occurred while processing this directive]