速報だけが全てじゃない
28日早朝、開会式をテレビ観戦していると、スマホが何度も鳴った。現地の田崎カメラマンがツイッターで送ってくる画像が、次々と飛び込んでくる。「SNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)五輪」。過去にないほどリアルタイムで大量に情報が飛ぶ。それを初日から実感した。
100年前、日本が初参加したストックホルム大会の時代は「絵はがき」が重要な情報伝達ツールだったという。記者を派遣した新聞社もあったが、写真も含めて記事が掲載されるのは数日後。それでも「新聞」の速報性は圧倒的で「新しく聞く」媒体だった。
46年に創刊した日刊スポーツは、日本が不参加だった48年ロンドン大会で初の五輪報道をしている。開会式の5日後、1面に「写真第一報」として入場行進の様子が掲載された。「ロンドン・サンフランシスコ間伝送、サンフランシスコ東京間空輸」のクレジット入りで。なんとも、のんびりした時代だなと思う。
その後、写真電送の技術が進み、00年シドニー五輪からはデジタルカメラがメーンになった。我々記者も原稿用紙からワープロになり、今はパソコンでどこからでも、いつでも原稿が送れる。携帯電話で記事を書く記者もいる。しかし、速報性ではインターネットやSNSにはかなわない。今回は、大会期間中に選手がツイッターやフェイスブック、ブログなどで情報を発信することが奨励されている。これまでは禁止されていたが、時代の流れには逆らえなくなったのか。選手の「本音」が、直接情報として流れる。我々の手を経ることもなくだ。
現れては消える大量の情報。それに囲まれながら迎えるのが、今大会だ。新聞の在り方も変わってきた。何が読まれ、何が求められるのか。情報にとって速報性は重要だが、それだけがすべてではない。黄色く変色した100年前の絵はがきを見ながら、考えた。
【編集委員・荻島弘一】
[2012年7月29日8時24分 紙面から]
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