伊藤メダル届かず…4位/トランポリン
<ロンドン五輪:トランポリン>◇3日◇男子個人決勝
昨年の世界選手権銅メダルの伊藤正樹(23=金沢学院大ク)は、決勝で60・895点の4位入賞にとどまった。08年北京五輪の外山哲也と並ぶ日本の過去最高位。伊藤は予選を4位で通過したが、決勝で上位3人を抜くことができなかった。2度目の五輪出場となった上山容弘(27)も5位に入賞した。
悔しかった。見る見るうちに、伊藤の目に涙がたまった。「メダルを取ってトランポリンをメジャーに」。その思いは、わずか0・424点差でかなわなかった。「演技的には満足しているが、結果を求めていただけにすごい悔しい」。得点が出る電光掲示板を見上げながら、涙をぬぐった。
60点台後半を出せば、中国2人に勝てなくても、銅メダルには手が届くと考えていた。そして予定通りの60・895点をマーク。しかし、昨年の世界選手権7位のウシャコフが計算外だった。「本番に弱かったが、思ったよりいい演技をしてきた」。想定は崩れた。
昨年に導入された跳躍点の申し子。8メートルの高さまで跳ぶ世界一のジャンパーだ。しかし、フランス製の器具が跳ねるため、この日はそのジャンプを低くし、安定性を重視した。冒頭の3連続3回転宙返りもきれいに決まった。「作戦は間違っていなかった。十分な演技ができたと思う」。それでも届かなかった。
メジャー化宣言は、自分にプレッシャーをかけてきた意味もある。「公言してきただけに、よけい悔しい」。しかし、初めての五輪で、実力は出し切った。「こんなにオリンピックは楽しいものなのかと思った」。メダルには届かなかった。しかし、胸を張れる4位だ。4年後のリオデジャネイロ五輪で、さらに高く飛躍する。【吉松忠弘】
◆トランポリン競技 縦520センチ、横305センチの大きさに、118本のスプリングを張った競技専用トランポリンを使う。1つの演技は、10種類の異なる技で構成され、予選は規定演技1回と自由演技1回の合計点で争う。合計点の上位8人が決勝に進出。決勝は自由演技一発で争う。得点は、技の難しさを競う難度点、演技の出来栄えを表す演技点、滞空時間の長さを示す跳躍時間点から構成される。
[2012年8月4日9時9分 紙面から]
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