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吉田3連覇「幸せです」/レスリング

<ロンドン五輪:レスリング>◇9日(日本時間10日)◇女子55キロ級決勝

 涙はなかった。表彰台で、吉田沙保里(29=ALSOK)は最高の笑顔を振りまいた。スタンドで無数の日の丸が揺れる。数多くの祝福を受けて「心から幸せだと思えた。笑顔になれました」。レスリング女子55キロ級で、前日の63キロ級・伊調馨(28=ALSOK)に続き日本女子2人目の五輪3連覇を果たした。

 決勝は、長年競い合うバービーク(カナダ)。昨年の世界選手権決勝で苦しめられた相手を、寄せ付けなかった。タックルを確実に決めて、相手には攻め手を与えない。歓喜の瞬間、マットをたたいて喜んだ。後方宙返りを披露し、栄和人監督をマットに投げつける。そして最後は、父でコーチの栄勝さんを肩車した。終わってみれば4試合で1点も許さない完勝だった。

 準決勝で、闘争本能にスイッチが入った。相手は5月のW杯で苦杯をなめた19歳のジョロボワ(ロシア)。硬さも見られた初戦の2回戦、続く準々決勝から動きが一変。鋭い片足タックルからの押し出しで第1ピリオド(P)を奪うと、第2Pはがぶりからのニアフォールで2点を奪った。勝った瞬間は激しいガッツポーズの嵐。「リベンジできて良かった」と、力がこもっていた。その勢いで、決勝も迎えられた。

 日本の顔として多忙な日々を過ごしてきた。その中で雪辱を果たし、五輪3連覇の目標をかなえた。女性旗手として、初めての金メダリストにも輝いた。「幸せです。レスリングやっていた良かった~」と、しみじみと感慨に浸った。

 [2012年8月10日7時41分]



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