美里「金」髪　20センチ以上バッサリ

　気合の五輪ヘアで北京の雪辱を－。ロンドン五輪の柔道女子５２キロ級代表の中村美里（２３＝三井住友海上）が、髪をバッサリ切った。２０日、東京・講道館で全柔連主催の壮行式が行われ、これまでと一変してショートヘア姿で出席した。銅メダルにとどまった北京五輪よりも、さらに短くしたいでたち。いまだ五輪で金メダルがない５２キロ級に、初めての優勝をもたらす決意を、言葉と姿で見せた。

　りりしく、口を真一文字に結んだ姿で畳の上を歩いた。その姿はさながら、少年のようだった。柔道五輪代表の壮行式で、中村は髪を短く切り落とした姿で登場した。これまでから、２０センチ以上もバッサリと。「気合の表れと思ってもらっていいです。五輪ヘアです」と、堂々と言ってのけた。

　５月の代表選考会を兼ねた選抜体重別前にも１度、髪を切った。そのときは周囲に「ちびまる子ちゃんカット」と呼ばれて、いじられた。今回は１４日に美容院に行くと、切ってもらっては「もう少し…」と注文をつけて、最終的に思い切り短髪になった。母美智代さんには「あなた、どうしたの？」と驚かれたが、１６日の代表合宿で会った所属先の柳沢久監督には「最初はびっくりしたよ。でも、若返ったね」と好評価。本人も「結べないくらいになりたかった」と明かした。

　そんなボーイッシュな髪形は、４年前をほうふつとさせる。社会人１年目の１９歳だった当時、５２キロ級に転向してすぐに五輪に出場。平成生まれ初のメダリストとなる銅メダルを獲得した。だが、準決勝でアン・グムエ（北朝鮮）のパワーに圧倒されて敗れた自分を悔いて、「金以外は同じ」と悔し涙を流した。喜ぶ姿はみじんもなかった。

　あれから４年。北京よりも「短い」という風体は、当時と同じように若返った。だが、中身は違う。「パワーもスピードも４年前より全然、成長している」。４８キロ級から上げた直後で世界選手権も未経験だった０８年と違い、世界女王に２度なった。４年間、常に先頭を歩いてきた自負がある。

　５２キロ級は９２年バルセロナ大会の溝口紀子、００年シドニー大会の楢崎教子、０４年アテネ五輪の横沢由貴の銀メダルが最高成績。「代表に選ばれてから、できることはやってきた。全力を尽くして、金メダルを目指して頑張る」。その言葉も、迫力を増していた。【今村健人】

　［2012年7月21日9時19分　紙面から］