Ｊ２ただ１人、東京Ｖ19歳ＦＷ杉本選出

　男子五輪代表のサプライズ招集は、関塚監督が最後に名前を読み上げたＦＷ杉本健勇（けんゆう＝１９）だった。五輪に出場するため、Ｃ大阪から東京Ｖへ期限付き移籍中。Ｊ２からは唯一の選出となった。「聞いたときはびっくりした。選ばれなかった人の分まで、優勝を狙って頑張る」と目標を掲げた。

　硬い表情が緩んだのは、一瞬だけだった。杉本はメンバー選出の喜びを真顔で語っていたが、「えっ？」と五輪代表の“先輩”に笑顔を見せた。

　会見で隣に並んだのは、関連チームである日テレから同代表に選出されたなでしこジャパンの３人。岩清水と阪口から「何を言ってるのか、全然聞こえないよ」とツッコミを受け、少しひるんだ。しかし「しっかり準備していきたい」と抱負を言い終えると、真剣なまなざしでマイクを置いた。

　五輪出場実現のため、Ｊ２への期限付き移籍へ踏み切った。今季、Ｃ大阪にはＭＦ清武（ニュルンベルクへ移籍）、山口、扇原と同代表の主軸となる３人が所属していた。選出は１クラブ３人までが原則となっており、杉本はそのルールが妨げになる可能性が高かった。

　そのためＣ大阪側は、３月２８日から約４カ月という超短期間の異例とも言える期限付き移籍で、杉本を武者修行に送り出した。移籍後は、１６試合に出場し４得点。センターＦＷとしての能力を磨いてきた。「（自分が）変わっていることは、実感していた。成長するために移籍してきて、チームで頑張って選ばれたのでよかった。五輪は自分にとって特別な大会で、狙っていた」と明かした。今月１７日に期限付き移籍は終了するが、関係者によると期限延長も視野に入れて、契約交渉を進めているという。

　フィールドプレーヤーとしては、最長身のＤＦ吉田に次ぐ１８７センチ。関塚監督からも「縦への突破が一番大事。（杉本には）高さ、ゴール前での迫力に期待している。足も振れるし連続した動きができると思う」と期待を寄せられている。

　トゥーロン国際大会には招集されておらず、代表合流は２月のアジア最終予選以来となる。「最終予選で選ばれていた人が、何人も落ちた。選ばれなかった人の分まで、優勝を狙って頑張りたい。ＦＷなので、ゴールでチームの勝利に貢献したい」。自ら切り開いたロンドンへの道で、最初の１歩を踏み出した。【保坂恭子】

　◆杉本健勇（すぎもと・けんゆう）１９９２年（平４）１１月１８日、大阪府生まれ。ルイ・ラモス・ヴェジットで小４からサッカーを始める。Ｃ大阪ジュニアユース、ユースを経て、高３だった１０年７月にトップ昇格。Ｕ－１５世代から代表に選出。昨季はＣ大阪で１５試合２得点。１８７センチ、７９キロ。Ａ型。

　［2012年7月3日8時40分　紙面から］