宮市は「大人の人選」で選ばれず

　日本サッカー協会は２日、ロンドン五輪に出場する五輪日本代表メンバー１８人を発表した。

　慎重派の関塚隆監督（５１）としては、当然の選択だったかもしれない。３５人の予備登録メンバーに入っていたＦＷ宮市亮（１９）が、最終選考で外れた。同監督は「組み合わせで、こういう選考になった」と説明する。

　宮市は、ザッケローニ監督の意向もあり、飛び級でＡ代表に呼ばれ、五輪代表のトゥーロン国際大会（５月）には参加できなかった。さらに日本協会が、所属していたボルトンの許可を得られなかったため、五輪アジア最終予選にも招集できなかった。手元に選手を置いて、じっくり試し、その選手の可能性を慎重に模索するのが関塚流。実際トゥーロンで試した大津、宇佐美、酒井高ら海外組はメンバー入りを果たした。

　日本協会は約１カ月前の６月８日に、オーバーエージ（ＯＡ）を含む予備登録３５人を決めた。五輪代表選考に、関塚監督の意向が１００％反映されたわけではない。ＯＡと２３歳以下で唯一ＭＦ香川に関しては、ザッケローニ監督と協会の意見が大きく影響した。

　原委員長は「１８人は関塚監督に一任した」というが、大枠の３５人の段階で指揮官の構想がそのまま受け入れられていないだけに、１００％監督が望む人事とは言い難い。仮に香川が入っていれば、組み合わせのバランスを考慮し、ドリブルが得意な斎藤が外れ、代わりにスピードが売りの宮市が入る可能性もあった。

　対照的に、なでしこ佐々木監督は「人選は米国に向かう飛行機の中（６月２９日）で固めた」という。大枠も含め、現場の意向が最優先された。

　男女五輪代表は１１日に壮行試合を戦った数日後、同便で欧州に向かう。現場中心選考の女子と、周りの思惑も含まれ「大人の人選」となった男子。正しかったのは？　１カ月後にはその結果がハッキリと出る。【サッカーキャップ・盧載鎭】

　［2012年7月3日7時42分　紙面から］