沢結果出す！金ならビジネスクラス帰国を

　【パリ１６日＝鎌田直秀】なでしこジャパンがロンドン五輪の直前合宿地フランスに到着した。パリまでは男子五輪代表と同便で、機内ではビジネスクラスだった男子に対し、女子はプレミアムエコノミーと格差があったことにＭＦ沢穂希（３３＝ＩＮＡＣ神戸）は「席は逆でもいいくらい。結果を残したら、帰りはビジネスに変更して」と“金”言。それでも長旅の疲れも見せず、編み込みヘアで決めて気合十分。１９日（日本時間２０日未明）の親善試合フランス戦後、２０日に英国入りする。

　パリに降り立ったＭＦ沢の表情はリラックスしていた。めまい症再発には気圧の変化が要因となるため、機内では耳栓をするなど対策も万全。到着ロビーでカメラのフラッシュを浴び、「体調は大丈夫。でもフラッシュすごすぎ。めっちゃまぶしかった。もしかしたら、こうしてる姿で写っているかも」と、右手で目を覆うポーズをしながら笑った。

　パリまで男子五輪代表と同便だった。女子は普段の海外遠征の移動は一般客と同じエコノミークラスが通例。金メダルの期待がかかる今回はプレミアムエコノミーにグレードアップされた。しかし、パリまで同便だった男子はさらに上のビジネスクラス。機内の前方に座る２３歳以下の男子との格差に、“お姉さま”の闘争心に火がついた。

　「席は逆でもいいくらいじゃないですか。年齢的にも私たちのほうが上ですし。（昨夏の）Ｗ杯は優勝したら、帰りはビジネスに変更してもらえた。今回も結果を出して、そうなればいいんだけど」と、笑顔の中に、強い決意をにじませた。

　出発前に佐々木監督からプレゼントされた１５日のオフに、髪の毛をお気に入りの編み込みのヘアスタイルに決めた。「かわいいでしょ。ヘアピンを使わずにやってもらったから、このままサッカーもできるよ」。ネイルも新調し、５色の五輪マークが描かれた左手薬指の爪も披露した。「みんなもそれぞれかわいいのをやっているので、見てあげてください」。“女子力”もアップして気合を入れた。

　右手薬指にはフランスに本社があるカルティエ社製の愛用指輪が光っていた。Ｗ杯ドイツ大会で日本代表歴代最多得点記録達成の記念に、日本サッカー協会から寄贈された時計も同社製だ。「好きな国だし、パワーをもらえるかも」。フランスでしっかり準備して、五輪本番で男子に負けない「なでしこ力」を見せつける。

　［2012年7月17日7時10分　紙面から］