涙の円陣なでしこ結束／サッカー

＜ロンドン五輪・サッカー：日本２－１カナダ＞◇２５日（日本時間２６日）◇女子１次リーグＦ組◇コベントリー

　なでしこジャパンのキャプテン、ＭＦ宮間あや（２７＝岡山湯郷）のひと言が、チームを１つにした。前半３３分のＭＦ川澄奈穂美（２６＝ＩＮＡＣ神戸）の先制弾などでカナダに勝利し、金メダルへ幸先良いスタートを切った。宮間は試合直前の「涙の円陣」で選手にスイッチを入れた。明日２８日のスウェーデン（ＦＩＦＡランク４位）戦で勝ち点３を奪えば、決勝トーナメント進出の可能性が出てくる。

　試合１５分前。緊張高まるロッカールーム。主将の宮間は「そろそろ行くよ」と号令をかけ、円陣を組んだ。

　「ここに立てるのは私たち選ばれた１８人だけ。過去、みんなにはいろいろな思いがあると思う。それぞれ大切な思い、支えてくれた大切な人がいて私たちは戦っている。６試合をお互いのために戦い抜こう」

　感情があふれ、声が詰まりながら、言葉に強さを込めた。涙をこらえきれない選手もいた。「隣にいたので、あやの震えを感じ、自然に涙が出てきました」と安藤。佐々木監督も「じーんときて涙が出そうだった」。

　宮間　前から言おうと思って準備していたわけではない。円陣を組んでみんなの顔を見たら、ここに立てることの幸せを感じたし、みんなで共有したかった。

　すかさずムードメーカーの大野が冗談を言って、緊張感とリラックスのバランスをとった。大野は「私は泣いてんじゃねえよ、ってやじっていました。あやが独特の雰囲気をつくってくれた。ピリッとした」と感謝した。沢も「頼もしい。私はあやに任せっきりなので、サポートしたい」と、宮間の責任感に敬意を表した。

　ピッチでも存在感は絶大。１－０の前半４４分には、ＤＦ鮫島からのクロスを頭で合わせた。「自分でもビックリ。鮫島選手は最近はアシストが記録できていなかったのでうれしい」。１９日のフランス戦で標的にされ悩める仲間の笑顔を喜んだ。

　前主将の沢には「苦しい時は私の背中を見て」という言葉があった。昨夏のＷ杯ドイツ大会準々決勝、ドイツ戦の試合前、佐々木監督は、東日本大震災の被災地映像を見せ“日本のために”を合言葉に、結束力を深め、優勝をつかみとった。

　宮間にもチームをまとめる言葉があった。「まだまだ強くなれる」と宮間。なでしこジャパンの「一体感」は、一層強まっていく。【鎌田直秀】

　［2012年7月27日8時3分　紙面から］