男も４強！日本３発で44年ぶり／サッカー

＜ロンドン五輪・サッカー：日本３－０エジプト＞◇４日◇男子準々決勝◇マンチェスター

　関塚ジャパンが３発完封の圧勝劇で、およそ半世紀ぶりのメダル獲得に王手をかけた。Ｃ組２位のエジプトに快勝し、１９６８年メキシコ大会以来４４年ぶりの４強入りを果たした。前半１４分、ＭＦ清武のクロスを受けたＦＷ永井謙佑（２３＝名古屋）が右足で先制ゴール。後半にはＤＦ吉田麻也（２３＝ＶＶＶ）、ＦＷ大津祐樹（２２＝ボルシアＭＧ）も続き、突き放した。関塚隆監督（５１）の下、勢いが止まらない日本男子代表は、７日（日本時間８日）にメキシコとの準決勝に挑む。

　サッカーの母国。マンチェスターＵが本拠地とするオールドトラフォード。７万７７２人の大観衆が詰め掛けた「夢の劇場」といわれるスタジアムで、関塚ジャパンが日本を、世界を驚かせた。

　完勝。喜びをあらわにする選手を横目に、関塚監督は無表情のまま駆けだし、エジプトのラムジ監督と握手を交わした。ベンチ裏の観客席からは、握手を求める現地の英国ファンの手が伸びる。日本にとって歴史的な１勝がしるされた瞬間だった。

　関塚監督　世界を倒してやろうという気持ちで大会に入ったし、選手と一体となって積み重ねてきた結果。選手たちは持ってるものをしっかり出した試合になって、本当によくやってくれた。

　「グラスゴーの奇跡」を起こした初戦スペイン戦と同じ布陣で臨んだ。前半１４分、モロッコ戦でゴールを決めた永井が先制。永井は負傷退場したが、ピッチに残った選手がゴールラッシュで続く。後半３３分にはＤＦ吉田が頭で追加点。３８分にはＦＷ大津がスペイン戦に続くゴールでダメを押した。前半４１分には斎藤がペナルティーエリア手前で倒され、相手ＤＦサードが一発退場となった。数的優位にも立ち、関塚監督の叫び声の下、守備陣も一丸となって大勝をつかんだ。

　６８年メキシコ大会以来の４強進出。次戦に勝てば、銀メダル以上が確定する。負けても３位決定戦で銅メダルの可能性が残る。偉業にあと１勝と迫り、関塚監督は「私はＵ－２３代表の監督として指揮しているが、育成年代の成長が大きい。海外で活躍する選手の力もあって、ここまで来られた。みなさんに感謝です」と感慨深げに話した。

　５月７日には、メキシコ大会の銅メダルメンバーで、０２年に亡くなった故宮本征勝さん（享年６３）にメダル獲得を約束した。茨城・鹿嶋市内で墓参りし、本田技研や早大、Ｊリーグ鹿島や清水でもともに歩んだ恩師に「まだメダルは取ってないんで。大会が終わってから報告します」と、メダルを手にして墓前に立つことを誓った。

　次戦はロンドンに場所を移し、ウェンブリー競技場で準決勝に挑む。相手は大会直前の強化試合で、永井、大津のゴールで２－１で勝利したメキシコだ。結成して初めて臨んだ１０年秋の広州アジア大会で、アベックで金メダルを獲得した女子代表とともに、決戦の地ロンドンに乗り込む。

　関塚監督　やっとロンドンに行けますからね。ロンドンで楽しみたいと思います。なでしこジャパンは世界チャンピオンだけど、我々は世界にチャレンジしたい。一緒にウェンブリーで戦えるのはうれしい。次もしっかり戦って、メダルに手を届かせたい。

　半世紀ぶりの偉業へ－。日本サッカーの歴史に「関塚ジャパン」の名を刻む時がやって来た。【福岡吉央】

　［2012年8月5日9時19分　紙面から］