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伝説ボルト「ルイス尊敬してない」/陸上

2冠を達成し、口に指を当てて駆け抜けるジャマイカのボルト(右から2人目)(共同)
2冠を達成し、口に指を当てて駆け抜けるジャマイカのボルト(右から2人目)(共同)

<ロンドン五輪:陸上>◇9日(日本時間10日)◇男子200メートル決勝

 陸上男子短距離のスーパースター、ウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)が100メートルに続き200メートルも制し、五輪史上初となる2大会連続の短距離2冠に輝いた。ゴール前でスピードを緩め、口に指を当てるパフォーマンス。それでも19秒32の記録をマークした。レース後には、否定的な見解を示す五輪9冠のカール・ルイス氏(51)に対し「全然、尊敬していない」とけんかを売るなど、「伝説」をめぐる論争はがぜんヒートアップした。

 圧巻の走りで、強さを誇示した。200メートル決勝。落ち着いてスタートを切ると、すぐにスピードアップ。コーナーを回るところで、2番手のブレーク以下を一気に引き離した。長いストライドで飛ばし、世界記録更新の期待も高まった。

 だが勝利を確信したボルトは、残り20メートルからペースダウンし、体を左横に向けて、左手人さし指を口に当てるポーズ。北京の欽ちゃん走りに続く、パフォーマンスでフィニッシュした。さらにゴール直後は、ターフに両手を付け、腕立て伏せを5回。余裕を見せつけ、会場の笑いを誘った。

 史上初となる2大会連続で100メートルと200メートルの2冠。世界中の注目を一身に浴びた男は「オレは伝説の中にいる。最も偉大なアスリートになった。(400メートルの世界記録保持者の)マイケル・ジョンソンと同じ域に達した」。そして口に人さし指を当てるポーズについて、「オレが勝てないと思っていた連中に『黙れ』の意味さ」。矛先はもう1人の伝説、ルイス氏に向けられたものだった。

 「オレはルイスなんて全然、尊敬していない」。2冠を達成したことで、怒りをあらわにした。北京でボルトが大ブレークして以降、ルイス氏はことあるごとにジャマイカのドーピング検査の不備を指摘。常に懐疑的な目を向けてきた。それを踏まえ、「私について話すことは薬物のことばかり。こうした発言は不愉快極まりない」。

 また、大会前にジャマイカ・オブザーバー紙にボルトの連覇について問われたルイス氏は「2大会続けて好調を維持するのは難しい」。さらに5日の100メートルのレース後も「大事なことは息の長さ。長く頂点に立つ必要がある」と、一貫して否定的な見方を示した。怒り心頭のボルトは「今や自分がまったく相手にされないから注目を浴びたいだけだろ」と挑発的な発言で、ばっさり切り捨てた。

 残すは400メートルリレー。200メートルの表彰台を独占したブレーク、ウィアーらそうそうたるメンバーがそろう。100メートル、200メートルで自身の世界記録更新はならなかったが「ジャマイカは強いからここいらで(記録を)出せるんじゃないか」。2大会連続の3冠の計6冠となれば、ルイスのトラック最多5冠(100メートル=2、200メートル=1、400メートルリレー=2)を上回る。時代を超え、ルイス氏にむき出す敵対心。ヒートアップする「伝説」をめぐる論争に、自らの走りで終止符を打つ。【佐藤隆志】

 [2012年8月11日9時19分 紙面から]



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