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コラム Nikkan Olympic Column
サッカー解説・鈴木良平 五輪コラム サッカー解説・鈴木良平

 ◆鈴木良平(すずき・りょうへい)1949年(昭24)6月12日、東京都生まれ。東海大卒業後、73年ボルシアMG留学、コーチ修業。75年ブ ンデスリーガ監督資格のS級ライセンス取得。84-85年シーズン、ビーレフェルトコーチ。85年日本女子サッカー初の専任監督就任。89年L リーグ日興証券ドリームレディース監督。98年福岡コーチ。現在解説者として活躍。

核になってない宮間

<ロンドン五輪・サッカー:日本2-0ブラジル>◇3日(日本時間4日)◇女子準々決勝◇カーディフ

 なでしこが「お嬢様サッカー」になってしまっている。ブラジルに勝った結果はいいが、試合内容は圧倒される場面が多すぎた。特に前半の20分間はブラジルの方がアグレッシブだったし、前からプレッシャーをかけられた。なでしこジャパンは深い位置まで攻め込まれて苦し紛れに前にボールを蹴り、簡単に相手にボールを渡し、波状攻撃を受け続けた。持ち前のパスの組み立てで流れを呼び寄せることは出来なかった。

 気になるのはMF宮間だ。五輪に入ってここまで、攻撃の核になっていない。セットプレーはいいが、流れの中で中心になりきれていない。宮間からの攻撃展開が生まれないのが大きな課題であり、リーダーとしてもっと前面に出てこないと厳しい。

 宮間をはじめ、全体的にバランスやポジションにこだわりすぎている。「ポジションを崩してでもいいんだ」という強い気持ちでボールのところへ行く姿勢が足りない。

 高い位置から相手にプレッシャーをかけ、ボールを奪うシーンは皆無だった。前半20分間は「お嬢様サッカー」だったし、全然相手にプレッシャーになっていない。戦ってボールを取りに行かなければならない。

 準決勝の相手になるフランスは、ブラジルよりスピードがある。ミドル、ロングシュートをみんなが打ってくる。競り合いの力強さもあるだけに、もっと大変な相手だ。

 最近のなでしこジャパンと対戦するチームは、立ち上がりからプレッシャーをかけてくる。ブラジルの攻撃は20分間しのげたが、力が上のフランスをしのげるか不安が残る。

 ポイントはどれだけ高い位置でボールを奪えるか。押し込まれたら苦しくなる。キープ率を高めてマイボールの時間、相手コート内での時間を増やすこと。昨年W杯で世界に衝撃を与えた戦術的に高いレベルのパスサッカーが、なでしこが本来目指すべきサッカーだろう。

 [2012年8月5日9時48分 紙面から]



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