関塚日本 銅は譲れない日韓戦/サッカー
<ロンドン五輪・サッカー:日本1-3メキシコ>◇7日(日本時間8日)◇男子準決勝◇ウェンブリー
【ロンドン(英国)8日=福岡吉央】男子五輪代表が3位決定戦となる10日の日韓戦(カーディフ)で、U-20(20歳以下)W杯出場を2大会連続で逃した悔しさを晴らす。7日の準決勝ではメキシコに1-3で逆転負け。韓国は「谷間の世代」が08年、「プラチナ世代」が10年にU-20W杯アジア予選であと1歩で本大会出場を阻まれた因縁の相手。今度は五輪の舞台でアジア対決を制し、44年ぶりの銅メダルをつかむ。
金メダルには届かなかった。試合終了の笛が吹かれると、先制点を奪ったFW大津祐樹(22=ボルシアMG)はピッチにひざまずき、両手で顔を覆い、あふれる涙をぬぐった。「関さんに金メダルをかけてあげたかった」。中2日の過密日程の中、走り続けてこの日が5試合目。前線からハイプレスを掛け、カウンターに転じる、運動量を求められるサッカーは、もはや体力的に限界だった。決勝目前で、世界の頂点への夢はついについえた。
だが、下を向いてばかりはいられない。明日10日には宿敵韓国との3位決定戦が待っている。4日のエジプト戦で左太ももを打撲しながらも、準決勝当日に膝が曲がるようになったことで先発を志願したFW永井謙佑(23=名古屋)は「ちょっと皆、体も重かった。でももっとやらなきゃいけなかった。次、しっかり切り替えてワンチャンスで決めたい。銅メダルを持って帰りたい」と、必死に前を向き直した。
日本にとって韓国は因縁の相手だ。08年11月8日に行われたU-20W杯アジア予選を兼ねたU-19アジア選手権の準々決勝で韓国に0-3で完封負け。8大会ぶりにU-20W杯出場を逃した。当時のメンバーで今回五輪に出場しているのはFW永井、MF村松、GK権田の3人。一方、韓国には当時のメンバーが7人おり、元C大阪のMFキム・ボギョン(カーディフ)ら5人が先発。翌年のU-20W杯にも5人が出場した。
永井や権田は五輪アジア予選中から、幾度となく「僕たちは世界を知らない。4年前の悔しさを忘れてはいけない」と口にし続けてきた。「谷間の世代」にとって4年前の苦い思いが今も心の中に残っている。
その思いは「プラチナ世代」のFW杉本、MF宇佐美、さらにDF酒井高も同じだ。10年10月11日に行われたU-19アジア選手権準々決勝で韓国に2-3で逆転負け。U-17W杯に出場したプラチナ世代も、U-19時代には韓国に世界への扉を閉ざされている。
それだけに、韓国はリベンジを果たすには格好の相手。世界大会でメダルを獲得すれば2年間の兵役が免除されるだけに、相手も真剣だ。洪明甫監督は日本でのプレー経験が長く、選手も今夏移籍したMFキム・ボギョンを含め6人がJリーグでプレー。日本のサッカーを熟知している。
泣いても笑っても残り1試合。MF清武は「日の丸を背負っている以上、メダルを取って帰らないといけない」と言った。18人の戦士たちは日本のプライドを再び胸に刻み込み、最後の決戦へと挑む。
[2012年8月9日7時17分 紙面から]
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