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16歳杏南は姉さんたちと露天風呂で団結

バトン受け渡しの練習をする土井(右)と市川(撮影・たえ見朱実)
バトン受け渡しの練習をする土井(右)と市川(撮影・たえ見朱実)

 「湯けむりコミュニケーション」で一致団結!? 陸上男女短距離のロンドン五輪代表が17日、山梨県内で強化合宿を公開した。出場すれば陸上で戦後最年少となる16歳の土井杏南(埼玉栄高2年)は、福島千里(24)ら女子400メートルリレーのメンバー5人でバトンパスの練習を徹底。宿舎では先輩らと一緒に露天風呂につかるなどして、結束力を高めているという。23日からドイツでの直前合宿で、本番で走る4人を決める最終テストに臨む。

 モク、モク、モク。温泉から立ち上る湯気の中、5人娘が練習の疲れをいやしながら会話を弾ませる。ロンドンで女子400メートルリレー予選の号砲が鳴る8月9日まで20日あまり。64年東京五輪以来48年ぶりの出場を勝ち取ったメンバーは、富士の裾野で1つの湯船につかっていた。

 土井が「(宿舎が)温泉旅館なんですよ! 私は市川さんと同部屋で一緒にお風呂に行くんですが、皆さんが来ることもあって」と笑顔で明かした。さらに「富士山も見えるんです」。雪がわずかに残る日本一の頂を眺めながら、15日からの合宿を過ごしているという。

 16歳の新星にはリレーに必要な結束力を高める絶好の機会だ。同部屋で5歳上の市川とは「テレビを見て、いろいろツッコミを入れたり。競技以外の話もいっぱいしてます」。3月の沖縄合宿に続く2回目の代表合宿で、積極的に先輩と意思疎通を図る。この日の練習では試合用シューズを5人で赤色に統一するなど一体感も出てきた。

 本番で走るのは4人。互いに刺激を受けながら走力アップを目指す合宿でもある。麻場女子短距離部長は23日からドイツで行う合宿について「1発のトライアルを行う」と明言。個人種目に出る福島を除いた土井、市川、高橋、佐野で100メートルを競わせ、「最終的な判断材料にする」という。

 やっと学校の期末試験が終わった土井にとっては、競技でも試験が待つ形だが、「もう五輪は始まっている。常に五輪のことを考えている」。ハキハキ話す姿に不安はなさそう。実力通りに走れば、第1走者を任されるのが濃厚だ。

 「私、どこでも寝られるんで、選手村でも大丈夫だと思います」と日焼けした顔から白い歯がこぼれるニューヒロイン。「日々全力」という好きな言葉通り、練習でも練習以外でも、人生16回目の夏を精いっぱい過ごしている。【阿部健吾】

 [2012年7月18日9時21分 紙面から]



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