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ボルト「ハッピー」予選通過/陸上

男子100メートル予選 準決勝進出を決めたボルト(撮影・たえ見朱実)
男子100メートル予選 準決勝進出を決めたボルト(撮影・たえ見朱実)

<ロンドン五輪:陸上>◇4日◇男子100メートル予選

 4組のウサイン・ボルト(25=ジャマイカ)は後半流して、10秒09の同組トップ、全体9位で突破。6月のジャマイカ選手権でボルトを破った昨年の世界選手権覇者ヨハン・ブレーク(22=ジャマイカ)は、山県と同組の6組で10秒00のトップ、全体3位で通過した。

 8万人の大観衆で埋め尽くされたオリンピック・スタジアムに、最大のスーパースター、ボルトが登場した。スタンドにはジャマイカ国旗が揺れる。「さぁ、歴史への第1歩です」。場内アナウンスに、耳をつんざく大歓声が巻き起こった。そしてスタート音。ボルトは落ち着いて飛び出し、30メートルで先頭に立つ。中盤以降は周りを見る余裕の走りで軽く流し、同組トップの10秒09で予選を通過した。

 ボルト 思ったような走りができた。だから今はハッピーだ。スタート反応もよかったが、1歩目でちょっとつまずいた。これが予選でよかった。準決勝が楽しみになった。

 人類史上最速の男。そう呼ばれる。前回北京五輪の100メートル決勝で9秒69をマーク。当時の世界最高記録を打ち立てた。しかも最後は「欽ちゃん走り」で、この記録だ。あの衝撃から4年。自己記録は9秒58にまで伸ばし、今大会は人類史上初の9秒5切りの金字塔なるか。世界が注目する。

 今季は暗雲が立ちこめた。6月のジャマイカ選手権で、練習パートナーの後輩・ブレークに100メートル、200メートルともに敗れた。しかも右太ももに痛みが走り、7月20日のダイヤモンドリーグ・モナコGPを欠場。ボルトは大丈夫か? 五輪を前に不安を抱えた。

 もともとボルトには体の障害がある。「脊椎側彎症(そくわんしょう)」。先天的に背骨が大きくS字に曲がっている。腰痛を発症しやすく、そこから太もも裏(ハムストリングス)の故障につながる。レースを前に、ボルトは「腰が少し張っていて、そこからきたものだった。もう大丈夫だ」と答え、100メートルへの不安を打ち消した。

 今日の100メートル準決勝、そして決勝でボルトはまた、全世界に夢を見させてくれるのか。「後は喜びのみ。勝つ準備はできている。やるだけさ」。北京の興奮を、ロンドンで再現することを誓った。【佐藤隆志】

 [2012年8月5日9時20分 紙面から]



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