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山県 日本五輪最速10秒07/陸上

男子100メートル予選 10秒07で準決勝に進んだ山県(共同)
男子100メートル予選 10秒07で準決勝に進んだ山県(共同)

<ロンドン五輪:陸上>◇4日◇男子100メートル予選

 陸上男子100メートル予選で、山県亮太(20=慶大)が自己ベスト記録となる日本人五輪史上最速10秒07をマーク、6組2位で北京五輪の塚原直貴に続く準決勝進出(24人)を果たした。全体でも7位の好タイムだった。江里口匡史(23=大阪ガス)は10秒30で予選敗退となった。

 日本陸上界にシンデレラボーイが現れた。慶応ボーイの山県だ。予選6組、ジャマイカ選手権でボルトを破った新進気鋭のブレークと同組。自分らしいレースを展開した。スタートよく飛び出すと、中盤から抜け出してブレークに肉薄。そのまま2着でゴールした。

 タイムは10秒07。4月の織田記念で出した10秒08を上回る自己ベストで、日本歴代4位タイだった。96年に朝原、08年に塚原が出した10秒16を超えて、日本人の五輪史上最速タイム。さらに、予選を軽く流していたとはいえ、9秒58の世界記録保持者で北京五輪覇者のボルト(10秒09)や米国のエース、ゲイ(10秒08)を上回った。

 前回北京の塚原に続く準決勝進出だ。山県は「始まる前は大丈夫だろかと思うくらい緊張しましたけど、1歩走り始めて落ち着いた。自分のレースができたと思います」と初々しい。日本人の五輪史上最速タイムにも「でもここで終わりじゃないんで」。そしてウイットに富んだ「ボルト超え」を問われると、「(ボルトは)本気で走ってないですから」。しごく当然の受け答えで、どこまでも冷静だった。

 広島の進学校・修道高の出身。日本陸連短距離部門の苅部部長は「ピュアで真っ白な子。吸収力がある」と評価する。転機は3月、日本陸連の沖縄合宿。大阪ガスの朝原コーチからアドバイスを受け、フォームを改善した。ストライドを意識するあまり体の前に着地していた足を、体の真下に下ろすイメージに変えた。接地時間を短く、効率よく回すことで、中盤以降の走りがスムーズに。その走りが、この日のレースにも出ていた。

 今日の準決勝で32年ロサンゼルス大会で6位入賞した吉岡隆徳以来となる夢のファイナリストを目指す。山県は「落ち着いて走れるかにかかっています」。日本短距離界の歴史に挑戦する。【佐藤隆志】

 ◆山県亮太(やまがた・りょうた)1992年(平4)6月10日、広島市出身。広島修道中-広島修道高-慶大2年在学中。小学校4年から兄の影響で陸上を本格的に始める。09年世界ユース100メートル4位、メドレーリレー銅メダル。10年国体100メートル優勝。自己ベストは五輪で記録した100メートル10秒07、200メートル20秒62。176センチ、68キロ。血液型A。

 [2012年8月5日9時20分 紙面から]



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