女子惨敗…これが世界との差/陸上
<ロンドン五輪:陸上>◇5日◇女子マラソン
日本の女子マラソンが、冬の時代に突入した。メダルどころか入賞にも届かずに惨敗。24キロすぎのアフリカ勢のペースアップに日本勢3人は誰もついていけなかった。木崎良子(27=ダイハツ)は2時間27分16秒で16位、尾崎好美(31=第一生命)は2時間27分43秒で19位、重友梨佐(24=天満屋)は2時間40分6秒で79位に終わった。エチオピアの新鋭ティキ・ゲラナ(24)が、2時間23分7秒の五輪記録で金メダルを獲得した。
完敗だった。トップのゲラナから4分以上遅れて、木崎が16位でゴール。日本勢の最上位ながら、最低限の目標とした8位入賞にも届かなかった。
レースが大きく動いたのは、24キロすぎ。約20人の先頭集団から、ケニアのキプラガトが飛び出す。ついていったのはケニアの2人とエチオピアの3人だった。それまで5キロ17分台だったペースが16分台にギアチェンジ。日本勢3人はついていけなかった。
木崎は「下りを使ってスピードアップしていって、対応できなかった。自分の練習では甘かったなと痛感しました」と振り返り、「力不足」と視線を落とした。19位の尾崎は「アップダウンがじわじわ足にきた。人生で一番厳しいコースだった」と顔を紅潮させた。6月下旬の合宿中に右足首を痛めた重友は、10キロ手前で脱落し、79位に沈んだ。
118人が出場したレース。2時間20分未満の記録を持つ選手が7人いた。日本勢の自己ベストは重友の2時間23分23秒が最速。タイムより勝負重視の五輪でチャンスをうかがった。スタートの約1時間前から、土砂降りの雨。石畳が多いコースはスピードが出にくく、路面がぬれることで不確定要素が増えた。実際、世界歴代2位の記録を持つジョブホワ(ロシア)は途中棄権。波乱の可能性はあったが、前評判通りにアフリカ勢に先を行かれた。
日本はチーム戦術を意識して臨んだ。6月中旬から約2週間、代表3人が米国で初めて合同合宿を実施。結束を強め、実力を高め合う狙いがあった。高速化するアフリカ勢に対抗するため、コースやコンディションの情報も共有してきたが、まったく勝負にならなかった。
「チーム・ジャパン」を提案した第一生命の山下佐知子監督は「戦略自体は間違っていない。それ以前に、力不足としか言えない」と冬の時代を実感した様子。日本マラソン界に厳しい現実が突きつけられた。
[2012年8月6日9時15分 紙面から]
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